本日2017年11月15日(水)時点のビットコイン情報をお届けします。
16時頃のビットコイン価格は、777,000円前後(時価総額:約12.97兆円)です。
昨日の同時刻帯より1.5万円ほど高い水準です。
ビットコインキャッシュのハードフォーク以降、値動きは落ち着きを見せ、80万円台回復に向けてじわりと上昇している雰囲気です。
ビットコインキャッシュも14万円〜15万円前後で安定的に推移しています。
本日の記事では、ニューズウィーク日本版が11月14日発売号で特集を組んだ「ビットコイン 可能性と危険性」において、取引所、監督官庁、金融機関、マイニング業者の担当者が、それぞれの立場から現状と未来を語るインタビュー記事が掲載されていましたので、その中で特に興味深かったQ&Aを1つずつ取り上げ、最近の動向や所感などをまとめてみたいと思います。
ビットコイン取引が多い日本、影響力がないのはなぜか(4者インタビュー) | テクノロジー | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
【1】仮想通貨取引所:ビットバンク
<影響力の面では日本の地位は低いとされるが、なぜか>
■廣末紀之(仮想通貨取引所ビットバンク 代表取締役CEO)
マイニング(採掘)や開発など影響力を持つ領域に日本はほぼ参加していない。取引量が多くても「お客さん」でしかない。
「日本はお客さん」というのは言い得て妙の表現で、欧米を中心とする開発コミュニティにも、中国を中心とするマイニングにおいてもこれまで日本勢は全く存在感がなく、何かを決定したり導いたりする立場ではありませんでした。
ここ数ヶ月のビットコイン分裂騒ぎ(ビットコインキャッシュ、ビットコインゴールド、ビットコインSegwit2x)に関しても、日本勢は誰かの発言や意向などについての最新情報をかき集めて対応に追われるだけで、その決定に全く関与できていません。
取引所と言えば公正かつ厳格なルールを基に運営される公的な組織というイメージがありますが、仮想通貨業界においては民間のイチ交換業者(FX業者に近い立ち位置)でしかなく、何か事が起きれば振り回される立場です。
仮想通貨マーケットに与える影響力で言えば、マイニング業者>開発コミュニティ>それらに近い大手取引所>その他取引所>一般投資家、という感じでしょうか。
仮想通貨は政府がコントロールしづらい性質を持ちますが、残念ながらそれは取引所事業者から見ても同様と言えそうです。
【2】監督官庁:金融庁
<例えばICO(仮想通貨を活用した資金調達)は、中国などでは全面禁止された>
■水口純(金融庁監督局審議官)
現時点で日本ではICOの件数は多くないと認識しているが、今後増えていく可能性や、そこに詐欺的なものが含まれる可能性も否定できない。イノベーションの1つであると同時に負の側面もあり得るということを踏まえ、実態をよく注視していく必要がある。
ここ2−3ヶ月、様々な一般企業、ベンチャー企業などから資金調達のためのICO実施のリリースが相次いでいましたが、金融庁は10月27日付でICOについての注意喚起文章を公表して以降、その勢いは少し収まったように感じます。
ICO(Initial Coin Offering)について ~利用者及び事業者に対する注意喚起~
金融庁からICO事業者に向けたメッセージ
- ICOの仕組みによっては資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となること
- 規制対象となる場合、登録など関係法令における義務を適切に履行する必要があること
- 登録なしに規制対象事業を行なった場合、刑事罰の対象となること
10月、11月には、テックビューロ社の「COMSA」、QUOINE社の「QASH」と仮想通貨取引所主催での100億円規模のICOが相次いだため、中小規模のICOはこれに飲み込まれた感もあります。
金融庁審議官の発言を素直に読めば、ICOに対する規制や特定社への警告はまだ先となりそうで、当面はICOで資金調達したマネーをどのように使用するのか、また投資家にどういう形でメリットを還元していくのか等を見極めていくスタンスとなりそうです。
また法規制もそうですが、ICOでの資金調達が「売上」と見做されるかどうかも大変気になるポイントで、こちらは企業会計基準委員会の判断を待つことになりそうです。
【3】金融機関:三菱UFJフィナンシャル・グループ
<10月に発表されたMUFGコインは仮想通貨なのか>
■藤井達人(三菱UFJフィナンシャル・グループ)
ビットコインなど一般的な仮想通貨とは違って発行体があり、ブロックチェーンは非公開で、価値も固定されている。私たちとしては安心・安全に使えるこうした「新しいデジタル通貨」にニーズがあると考えている。
法定通貨を基にビジネスをしている金融機関にとって、仮想通貨は自らの存在価値を揺るがしかねない脅威となる存在であり、基本的にネガティブです。
その最たる例が、ビットコイン批判を繰り返す米JPモルガンのダイモンCEOです。
ただ、ビットコインの中核技術であるブロックチェーンや、デジタル通貨という概念については、既存ビジネスの枠内で便利に活用できる可能性を感じ、FinTech系ベンチャー企業を巻き込んで、様々な研究や実証実験が進められています。
MUFGグループは10月、独自のデジタル通貨「MUFGコイン」を一般公開しました。
これまで社内1,500人で実証実験を進めていたものをイベントで初公開し、今年度中にも実験対象を全社員に広げるとのことです。
メディアは仮想通貨として取り上げていますが、MUFGコインは「1円=1コイン」とレートが固定されており、仮想通貨関連法で定める仮想通貨の定義には当てはまらず、デジタル通貨と呼ぶのが一般的です。
MUFGグループが管理する経済圏の中でのみ使用できる仕組みと考えられることから、一般ユーザーに開放されたとしても、利便性の面でどこまで普及するか疑問視する声が多く聞かれています。
【4】マイニング業者:DMM.com
<既にマイニング事業は開始しているのか>
■川本栄介(株式会社DMM.comクリプトマイニング事業部長)
9月に事業参入を発表し、今は準備段階。遅くとも年明けにはプール(マイニングを行うマシンのグループ)を公開する。その上でクラウドマイニングなど外部の協力を募る予定だ。自己資本だけでは限界がある。ここで日本の強みの話に戻るが、日本企業なので健全なイメージを打ち出せる。規制強化もあり、中国への協力や投資をためらう人はいる。既に世界中から問い合わせが来た。
GMO、DMM、SBIなど大手IT、金融系企業グループが続々と参入を打ち出したマイニング事業は、運営コストの大半を占める電気代が安いことが最優先事項であるため、国内での事業化は難しいとされ、海外に拠点を設ける流れが進んでいます。
また、自社機器でのマイニングに加え、参加者のパソコンの処理能力を借り受けてマイニングを行ない、貢献度に応じて利益をシェアするクラウドマイニングサービスを提供するのが主流となりつつあります。
海外では多く存在するサービスですが、契約先が突然サービスを停止したり、利益配分を適切に行なわなかったりと、信頼性が欠けるところが多いのが難点で、DMMはこの点を強調しています。
DMMは8月、1万円単位で競走馬の一口馬主になれ、レース賞金の分配を受け取ることが出来る「DMMバヌーシー」というサービスを開始しており、全く別のビジネスですが、クラウドマイニングも参加者のリソースを活用して利益を狙い、売上に応じて分配するという仕組みから見れば、同じようなものかもしれません。
本日、こちらからは以上です。