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金融当局がコインチェックに改善命令|取引・出金停止の異常事態が続く

本日2018年1月29日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,256,000円前後(時価総額:約21.14兆円)です。

先週金曜日の同時刻帯とほぼ変わらない水準です。
国内2位の大手取引所コインチェック社から時価580億円のネム(XEM)が盗難された事件で揺れた週末となりましたが、同社が463億円を自社で補填する方針を示したことで、日本時間1月26日夕方に111万円台まで下げていたビットコイン価格は、28日午後には128万円台まで回復しました。
本日やや下げたものの、120万円台半ばをキープしています。

本日の記事では、2014年のマウントゴックスを超える国内過去最大の被害額となったコインチェック社の資金流出事故の続報と、仮想通貨マーケットに及ぼす影響などを取り上げたいと思います。

 

【1】コインチェック社に金融庁が業務改善命令、正式な報告を求める

日本時間1月29日午後2時、顧客預かり資産の流出事故を起こしたコインチェック社に対して関東財務局から業務改善命令が出されました。
書面報告を受け取った後、正式な処分内容を決定する流れと見られます。

コインチェック株式会社に対する行政処分について:財務省関東財務局

(1) 本事案の事実関係及び原因の究明

(2) 顧客への適切な対応

(3) システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化

(4) 実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等

(5) 上記(1)から(4)までについて、平成30年2月13日(火)までに、書面で報告すること。

 

コインチェック社は28日、顧客に補填するための原資は現預金など自社の保有資産で賄えると説明してはいるものの、報告を受けた金融庁サイドは納得していない模様です。

昨年の業績が好調だったとは言え、現時点では463億円もの円資産を保有しているとは考えづらく、また自社資産の多くは仮想通貨として抱えている可能性が高いことから、一気に全額出金される可能性は低いと読み、その間に資金を手当することを目指した時間稼ぎではないかと疑う声も一部で聞かれます。

www.yomiuri.co.jp

 

また昨年9月末、他の大手取引所が仮想通貨交換業の金融庁登録を受ける中、コインチェック社は継続審査対象とされ、その後4ヶ月経った現在でも認可が下りておらず、みなし登録業者という状態が続いています。
同社がZcash(ZEC)、Monero(XMR)、Dash(DASH)など匿名性が高く、ダークマーケットで悪用されやすい仮想通貨を、国内で唯一取り扱っていることに金融庁が難色を示していると以前から囁かれてきました。

更に今回、セキュリティ管理体制が甘かったことが露呈し、今回の危機を乗り切ったとしても、コインチェック社の金融庁登録は相当遠のくことになりそうです。

headlines.yahoo.co.jp

 

【2】コインチェック事件、仮想通貨マーケットへの影響は?

ネム(XEM)大量流出の噂が流れた1月26日夕方、仮想通貨は全面安となったものの、コインチェック社が流出を認める頃には反発を始めており、補填の方針が示されたことで安心感が広がり、相場は更に反発しました。

ただ、これはコインチェック社が26日夕方以降、ビットコイン以外の取引や全ての出金を停止したため、本来大量に出るはずの投げ売りが制限された影響が大きいと見られます。

同社は出金を停止した理由を、不正送金の原因調査のためとしていますが、日本円の出金まで停止したのはパニック的な出金集中による社内資金流出を食い止める狙いがあると推察され、すぐに退避したい投資家から批判の声が殺到しています。

 

本日の業務改善命令は、2月13日(火)までの書面報告を求める内容でしたが、気になるのは現在停止されている取引・出金の解除がいつになるかという点です。
取引と出金の停止が解除されれば、不安と不満を募らせた投資家の大量決済・出金が集中することで、相場が崩れる恐れがありそうです。

万一、長期に渡って取引・出金の停止を解除せず、現状を維持するようなら、投資家は取引の決済すらできない状態で放置されることとなり、今のところ相場は落ち着いているものの、暴落でもすれば大変な訴訟沙汰となりそうなため、早期の解除が期待されます。

金融庁からの処分内容は、2月13日の書面提出後、一定期間を経てから通知される流れと見られ、一部業務停止処分となれば、FXなど他の金融取引の事例を参考にすると、新規取引や口座開設、入金は処分明けまで停止となり、顧客が退避できるよう決済取引や出金のみ認められるのが通例であるため、そうなればコインチェック社は更に苦境に追い込まれ、相場は一旦崩れる可能性が高そうです。

また、金融庁がコインチェック社の補填方針と業務継続を認めた場合でも、出金停止解除とともに大量の出金が重なれば、自社保有の仮想通貨を換金のために大量放出する可能性は否定できないため、相場急落に注意する必要がありそうです。


なお、コインチェック社は国内でビットコイン決済サービスの普及に最も力を入れていた企業でもあり、導入店舗数は少なくとも1万以上はあると思われます。
今回の影響でビットコイン決済サービスの提供は中断された上、同社のサービスを利用する店舗は受け取った代金の出金もできない状態となるなど、様々な悪影響が拡がっています。

 

【3】時期が非常に悪かったコインチェック社のハッキング事件

コインチェック社のようなハッキング被害は、海外の取引所でこれまで何度も発生していましたが、今回は被害額もさることながら、時期や相場状況が悪く、ダメージが広範囲に広がりそうです。

2016年の事件なら取り得た奇策

2016年8月、香港大手取引所BitFinexがハッキング被害に遭い、預かり資産の36%にあたる12万BTC(当時時価で約80億円)を盗まれる事件があり、倒産やむなしと見られましたが、同社は今後の売上で被害額を返済するための債務トークンを独自発行して、被害を受けた顧客に代替配布するという奇策を打ちました。
倒産よりマシと考えた投資家もそれを受け入れ、結果2017年4月までに同社が全てのトークンを買い戻して完済するという奇跡的な決着となりました。

今回も同様の手法を提案する人もいましたが、2016年当時であればともかく、仮想通貨関連法が施行され、金融庁管轄下に置かれた現在の仮想通貨取引所の立場では、様々な関連法に抵触するであろう同様の奇策は取れそうにありません。

cryptocurrencymagazine.com

 

2017年の事件なら慌てずに済んだ納税対策

今回本当にタイミングが悪かったのが、多額の利益を得た投資家が続出した2017年度の取引が終了し、その確定申告を直前に控えた時期だったことです。
多額の納税を求められる投資家の多くは、コインチェック社を含めて取引所に大半の資金を預け入れたまま取引を継続していると見られ、取引・出金を停止したままだと納税資金も取り出せず、ここ最近の相場下落でダメージを受けた資産が更に目減りすると、納税資金が不足する恐れすらあります。

急騰を続けた2017年度中に起きた事件であれば、資金が目減りしても年度内の利益が相殺されるだけで納税資金に困ることはなかったのですが。

 

本日、こちらからは以上です。

 

 

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