本日2019年7月18日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,045,000円前後(時価総額:約18.12兆円)です。
昨日の同時刻帯と比べて約116,000円ほど安い水準です。
ビットコインはここ数日の軟調な流れを引き継ぎ、17日20時頃に一時9,169ドルまで下値を拡大。また、円建てでも約1ヵ月ぶりに100万円の大台を割り込み、一時980,000円まで下落しました。ただ、その後はやや買い戻しが入り、一時10,000ドルに接近する場面もみられました。
本日のメールでは、前日に続いて行われた「Libra」に関する米公聴会や、カナダにおける市税のビットコイン決済導入について取り上げたいと思います。
【1】米下院公聴会も「Libra」に集中砲火、G7会合も早急な対応で一致
前日の米上院に続き、17日には米下院でもFacebookが発行を計画しているデジタル通貨「Libra(リブラ)」についての公聴会が開かれました。上院での公聴会と同じく、Facebook側からはリブラ担当の幹部デビッド・マーカス氏が出席しましたが、ここでも議員たちから厳しい言葉が相次ぐ結果となり、リブラのサービス開始には非常に困難な道が待ち受けることとなりそうです。
公聴会では、リブラ批判の急先鋒である米下院金融サービス委員会の委員長マクシン・ウォーターズ氏が、Facebookによる3000万人規模の個人情報流出事件や、2016年の米大統領選挙の際に、悪意のあるロシア政府関連の人物に広告枠を使わせたことなど、過去の不祥事を引き合いに出しながら同社の信頼性を疑問視。
そのうえで、大手テクノロジー企業によるデジタル通貨参入を禁じる法案について、正式に準備を進めていることを明らかにしました。
また、共和党のデービッド・スコット議員は、Facebookがリブラの安全面に関する詳細が明らかにしていない点を指摘。それに対してマーカス氏は、「(マネーロンダリング対策について)ブロックチェーンは法執行機関と規制当局に対して、既存のシステムより多くの情報を提供できる」と回答。また、リブラのデータやプライバシー保護については、「リブラ協会があるスイスの専門機関が担当する」としました。
しかし、その後CNBCは当該スイス機関が、「リブラに対する我々の役割が書かれた文書は受け取っているが、それ以外で本日まで担当者から連絡はない」としたことを報道。この報道を受けて、Facebook側も同機関と会っていないことを認めるなど、議員らが指摘する安全面への懸念をより深める形となっています。
さらに、共和党のパトリック・マクヘンリー議員は、公聴会に先立って行われたメディアインタビューで、ビットコインとリブラを比較し、「規制者は非中央集権のブロックチェーン技術を殺すことはできない。中国政府でさえ、ビットコインを殺せなかった」と指摘。その上で、リブラのように非中央集権的でないものに対しては、「政府はオペレーションを止めることができるだろう」と、脅しのような発言もしています。
公聴会を総じて振り返ると、議員たちがリブラを理解したうえで厳しい指摘をしているというよりは、Facebookをはじめとするテック業界が嫌い、既得権益を守りたい、といった感情が先に出ている印象を受けます。
昨年4月にFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOが、個人情報の不正流出事件を受けて公聴会に出席した際に、質問にあたった議員らがFacebookがどんな事業をしているのかすら理解できていないことが明らかとなったのは記憶に新しいところで、おそらく今回も同様の状況で議員たちは質問に立っていたと思われます。
Facebookと米議会の対立は今後も続くと見られ、2020年に予定しているリブラのローンチは後ずれする可能性が高そうですが、議員たちには冷静な目で判断してもらい、新サービスが上手く機能するような適切な規制に繋げてもらいたいものです。
なお、17日にフランスで開催されたG7財務相・中銀総裁会議でも、リブラの規制についてのあり方を議論。議長国フランスのルメール・経済・財務相は、各国からリブラ構想に対する懸念の声があがったとしたうえで、「早急な対応を取る必要がある」との認識で一致したとしています。
【2】加リッチモンドヒル市、固定資産税のビットコイン決済を導入へ
カナダの仮想通貨取引所・決済サービスのコインベリーは、固定資産税の支払いのためのビットコイン決済システムを提供することで、カナダ・オンタリオ州のリッチモンドヒル市と協議を開始したことを明らかにしました。
同社は今年3月に、同じくオンタリオ州のイニスフィル市と提携しており、仮想通貨による固定資産税の支払いシステムを提供しています。交渉がまとまれば、リッチモンドヒル市は、納税のために仮想通貨を受け入れる2番目のカナダの都市となります。
リッチモンドヒル市は、中国系や南アジア系、西アジア系など、多様な民族が暮らし都市であり、非白人系住民が多くを占めるため、仮想通貨を受け入れやすい土壌があると言えるかもしれません。
導入が決まった場合、イニスフィル市と同様のシステムが導入される見通しで、複数の仮想通貨からカナダドルに換金できるため、自治体側は仮想通貨を保持する必要がなく、リスクを抑えられるメリットがあります。
具体的な交渉はこれからとなりますが、同市のジョー・ディ・パオラ副市長は、「デジタル通貨決済というオプションの需要は、向こう数年、成長する一方であると考えている。(イニスフィル市の導入例を見て)コストもリスクもない。簡単な決断だった」と前向きなコメントを発表しています。
導入の可否は9月30日までに発表される見込みで、いい結果となることが待たれます。
本日、こちらからは以上です。