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NY州司法当局 VS Bitfinex裁判、決着は90日後に持ち越し|米内国歳入庁、仮想通貨保有者1万人以上に納税促す警告書を送付

本日2019年7月30日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,026,000円前後(時価総額:約18.31兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べてほぼ横ばいの水準です。
特段の新規材料もない中、ビットコインは9,500ドル前後の狭いレンジ内で膠着状態が続いています。

本日の記事では、NY州司法当局とBitfinexらの裁判の動向や、米内国歳入庁が仮想通貨保有者に送付した納税促す警告書について取り上げたいと思います。

 

【1】NY州司法当局 VS Bitfinex裁判、決着は90日後に持ち越し

今月29日、ニューヨーク州検事長事務局(NYAG)が、香港に拠点を置く大手仮想通貨取引所「Bitfinex」と、その運営会社でステーブルコイン「Tether(テザー)」の発行母体でもある「iFinex」に対して起こした裁判が行われました。

しかし、今回の聴取では結論に至らず、NYAGに対して約90日間の調査期間の延長を認める判断にとどまっています。

この争いの発端は、今年4月にBitfinexが8億5,000万ドル(約920億円)の損失を補填するため、親会社iFinexが発行するテザーの裏付け資金から7億ドル相当の借り入れを行い、不正に転用したとして、NY州における営業の停止を求めたことに遡ります。

その際には、証拠不十分として、裁判中に課されていたテザー準備金の移動を禁止する措置なども解除されています。

その後、BitfinexはNY州で営業をしていないため、NY州の司法当局には自分たちを調査する権限がないと主張し、告訴の取り消しを求めましたが、NYAGはBitfinexとテザーが2015年からNY住民にサービスを提供をしていたとして、最高裁にその管轄権を主張する摘要書(Memorandum of Law)や証拠品を提出し、現在に至っています。

coinpost.jp

Bitfinexやテザーを巡っては、これまでも様々な疑いの目が向けられてきました。
その際たるものが、テザーの不正発行とビットコインの価格操作疑惑です。

ステーブルコインであるテザーはもともと、米ドルに100%裏付けされたコインであり、米ドルと1対1で連動すると宣伝して資金を集めてきました。しかし、市場ではテザー発行の根拠となるはずの米ドルが実際に存在しないまま、不正に大量発行されているのではないかという声が多く上がっていました。

この件に関しては今年5月、NY州の司法当局との裁判の過程で、実際にはテザーの74%しか米ドルで裏付けされておらず、実質的に無担保でテザーを発行していることが明らかとなっています。

jp.cointelegraph.com

また、こちらはまだ真相は定かではありませんが、Bitfinexが無担保状態で大量発行されたテザー使ってビットコインの価格を操作する、いわゆる「テザー砲」の存在も指摘されています。

これはテザーの発行とビットコイン価格の関係性の高さからきている疑惑で、大量のテザーが発行されると、少し時間を空けてビットコイン大きく価格し始めるといったことがたびたび確認されています。

テキサス大学のジョン・グリフィン教授らも2018年6月に発表した論文の中で、17年のビットコインバブルの少なくとも半分はテザーによる価格操作が要因だと結論付けています。

hbol.jp

テザー砲と疑われる短期間での大量発行とビットコイン価格の不自然な急騰は現在もたびたび起こっていますが、もし疑惑が事実だとすれば現在のビットコイン価格は無担保のテザーによって本来はないはずの価値が上乗せされていることになります。

裁判中ということもあり、直近では露骨な大量発行は控えられている印象は受けますが、今後の裁判の流れ次第では再びテザー砲が頻発する可能性もあるため、市場への影響力の大きいBitfinexやテザーの動向には、引き続き注意を払いたいところです。

 

【2】米内国歳入庁、仮想通貨保有者1万人以上に納税促す警告書を送付

米内国歳入庁(IRS)は26日、税金を納めていない可能性がある仮想通貨保有者を対象に、納税を促す「警告書」を送付していること発表しました。

書簡の送付は発表の1週間前から開始され、8月末までには納税が必要となる可能性がある1万人以上の仮想通貨保有者への送付が完了する見通しだといいます。送付予定の仮想通貨保有者の情報は、「様々なコンプライアンスの取り組み」を通じて入手したとしています。

書簡の内容についてIRSのレティグ長官は、仮想通貨を保有し利益を得た場合の納税義務や納税方法を説明する教育的な内容であるとしていますが、「納税者は書簡を極めて深刻に受け止め、納税申告を見直して必要な場合には過去の申告を修正し、税金と利息そして罰金を支払うべき」とも述べているように、実質的には脱税している可能性がある保有者への「警告書」と言えます。

www.coindeskjapan.com

IRSは今年5月、仮想通貨に関する新しいガイダンスの作成のため、本格的な調査や問題の明確化などに取り組み始めていることを報告しているなど、脱税を許さない姿勢を強めてきています。

今月9日にはIRSがアップル、グーグル、マイクロソフトなどのテクノロジー企業に対し、大陪審発布の召喚状を使用し、仮想通貨保有者による関連アプリのダウンロード履歴などを提出させることを検討していることが明らかとなっています。

jp.cointelegraph.com

仮想通貨の取引や送金は個人情報と繋がっていない場合が多く、きちんとした課税対策もないため、現状では個人の申告に頼っている状況であり、各国政府には仮想通貨が脱税の温床になっているとの懸念があります。

適切な課税制度の構築は、仮想通貨が文字通り「通貨」として普及していくことを目指すうえでは必要不可欠なものであり、アメリカだけでなく、日本も含めた国際社会全体で速やかに議論を進めて欲しいものです。

本日、こちらからは以上です。

 

本ブログはビットコインなどの情報提供を目的としますが、内容の正確性を保証するものではありません。仮想通貨の取引はご自身の判断で行なってください。