本日2021年6月11日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は4,000,000円前後(時価総額:約75.26兆円)です。
昨日の同時刻帯と比べてほぼ横ばいの水準です。
昨日のビットコインは、36,000ドル~38,000ドル付近での小幅な値動きに終始しました。
本日の記事では、エルサルバドルで可決されたビットコインを法定通貨とする法案の話題や、バーゼル委員会が銀行のビットコイン保有に関する新たな規制を提案した話題を取り上げたいと思います。
【1】エルサルバドルがBTCを法定通貨とする法案を可決、世界初
エルサルバドル共和国のネイブ・ブケレ大統領が議会に提出した、ビットコインを法定通貨とする法案が賛成多数で可決され、世界で初めてビットコインを法定通貨として認める国が誕生する運びとなりました。
法律の発効は、インフラ整備などのために90日の猶予期間を設けたうえで行う方針で、発効後は従来からの法定通貨である米ドルと共にビットコインを、日常の商取引など様々な場面で利用できるようになります。
同法律の主な内容は以下の通りです。
- 商品の価格単位をビットコインで表示可能とする。
- ビットコインでの納税を受け入れる。
- ビットコインの取引にはキャピタルゲイン税を課さない。
- ビットコインの基準価格は引き続き米ドルとする。
- すべての経済主体がビットコインを支払い手段として受け入れる。
なお、エルサルバドル政府は、ビットコインの法定通貨化に合わせていくつかの構想も明らかにしています。
まず、ビットコイン取引時の米ドルとの兌換性を保証し、企業などのリスクを引き受けるため、エルサルバドル開発銀行に信託を設立することを発表しています。同信託では、1億5,000万ドル(約164億円)の米ドルを保有することになるようです。
また、国内にビットコインマイナーを誘致したい考えで、ブケレ大統領は国の地熱発電会社に対して、「非常に安価で、100%クリーンで、100%再生可能で、排出ガスゼロの火山のエネルギーを使ったビットコインのマイニング施設の計画」を立てるよう指示したことも明らかにしています。
こうしたエルサルバドルの動きを受けて、中南米諸国では一部の政治家が呼応するように仮想通貨の支持を表明しています。
現時点で政治家が仮想通貨支持を表明した中南米諸国は以下の通りです。
- アルゼンチン
- ブラジル
- パナマ
- パラグアイ
- コロンビア
- メキシコ
- エクアドル
これらの国はいずれも経済基盤が脆弱で、自国通貨の信用力に問題を抱えている国であるため、ビットコインを法定通貨にという誘惑に駆られても違和感はありません。
ただ、これらの国のほとんどはエルサルバドルとは異なり、通貨発行権を有している国であるため、ビットコインを法定通貨とすることによるリスクも高くなるだけに、より慎重になる可能性があります。
いずれにせよ、エルサルバドルで行われる壮大な社会実験は、ビットコインの法定通貨化を目論む国にとって重要な試金石となることは間違いなく、その動向には多くの視線が集まることになりそうです。
【2】バーゼル委員会、銀行の仮想通貨保有に関する新たな規制を提案
バーゼル銀行監督委員会(通称:バーゼル委員会)は10日、銀行によるビットコインなど仮想通貨の保有量に応じた必要資本量を規定する諮問書を公開しました。
バーゼル銀行監督委員会(Basel Committee on Banking Supervision:BCBS)は、金融機関の監督における国際協力の推進を目的にG10諸国の中央銀行総裁らの合意により、1974年にスイスのバーゼルで設立された機関です。
諮問書には、世界中の金融機関が今後仮想通貨カストディなどの事業に参入することを想定し、金融機関に対してより厳格な必要資本量やリスク監視措置が必要となることが明記されています。
そのうえで、バーゼル委員会は仮想通貨を2つのグループに分けることを提案。第1グループはトークン化された伝統的資産(ステーブルコインなど)、第2グループは第1グループ以外の仮想通貨(ビットコインなど)で、ボラティリティの高い後者の保有に厳格なリスク管理を課すことを求めています。
具体的には、保有資産の信用力によって異なる「リスクウエート」を、ビットコインなどの仮想通貨については、1250%と最高水準に設定することを提案しています。
これが適用された場合、国際的な金融機関には8%以上の自己資本比率が求められていることから、実質的に保有するビットコインの額と同額の資本(1250%×8%=100%)を引き当てる必要があります。
銀行の仮想通貨保有に一定の歯止めをかける厳しい規制案ではあるものの、ステーブルコインとは異なり、ビットコインなどの仮想通貨には裏付けとなる資産がないため、金融システムを安定させるにはごく当然の考え方だと言えそうです。
なお、公開された諮問書は、銀行による仮想通貨の保有を前提としており、仮想通貨の保有自体を疑問視する内容は含まれていなかったため、仮想通貨コミュニティからはこの点をポジティブに捉える声が聞かれています。
本日、こちらからは以上です。