本日2018年4月26日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
14時頃のビットコイン価格は、976,000円前後(時価総額:約16.59兆円)です。
昨日の同時刻帯より5万円ほど安い水準です。
ここ2週間ほど10,000ドルに迫る勢いで上昇してきましたが、9,700ドルで頭を抑えられたことで、日本時間4月25日午後より下落に転じました。
本日の記事では、トレイダーズホールディングス傘下のみなし業者「みんなのビットコイン」も数々の問題点が指摘されて金融庁から業務改善命令を出されたことや、MUFGグループが推し進めるMUFGコインの問題点などを取り上げたいと思います。
【1】トレイダーズ傘下の「みんなのビットコイン」も業務改善命令
金融庁は4月25日、仮想通貨交換業のみなし業者で、ジャスダックに上場するトレイダーズホールディングス傘下の「みんなのビットコイン」に対し、業務改善命令を出しました。
法令遵守や適正な業務運営を行なうための経営管理態勢が不十分とされたほか、マネーロンダリングやテロ資金供与対策、法定帳簿の作成・保存、システムリスク管理態勢が構築されていないなど、3月22日からの立ち入り検査で数々の問題点が見つかったようです。
グループには証券やFX事業を営むトレイダーズ証券があることから、金融庁が求める内部管理態勢についての知見・ノウハウは、新興企業より有しているはずですが、システム面はともかく、法定帳簿の作成・保存といったレベルで金融庁から指摘されるのは何とも言えない感じがします。
グループ内の人員不足から手が回っていないのかもしれません。
証券系と言えばGMOクリック証券のグループ会社、GMOコインも3月に同じく業務改善命令を受けましたが、こちらはシステム障害の頻発と対応策が不十分なことが処分理由でした。
昨年9月に金融庁の登録審査を通過していることもあり、法定帳簿レベルの指摘はありません。
登録業者とみなし業者の差は、やはり大きいようです。
これでみなし業者16社のうち、撤退もしくは行政処分を受けていない無風の企業は、deBit社のみとなりました。
同社は当初、仮想通貨のデビットカードを作ろうとしていたものの、その後方針転換し、今では仮想通貨事業者同士を繋ぐシステム提供を主としているようです。
昨年6月には仮想通貨決済サービスで、みんなのビットコインとも業務提携しています。
仮想通貨交換業者の登録を得られれば、ビジネスを行なえる領域が格段に広がるため、登録を目指していると考えられますが、そのためにはマネーロンダリングやテロ資金供与対策を始めとする数々の内部管理態勢を整えなければならないため、高収益の取引所事業を抱えていないベンチャー企業にとっては、コスト面でハードルが高そうです。
【2】1コイン≒1円でほぼ固定させようとするMUFGコインの問題点
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が自社発行するデジタル通貨「MUFGコイン」は、昨年から社員1,500人が飲食代金の割り勘に使うなどして実証実験に参加しています。
今月からは丸の内本部ビル内のコンビニでも支払対応レジを設けたほか、今後は社員以外にも参加者を広げ、実用化に向けて問題の洗い出しを進めていく方針です。
「MUFGコイン」最大の特徴は、1MUFGコイン≒1円とレートをほぼ固定させることで、投資の要素を排除し、価格変動を気にせず日常使用できることを目指している点です。
1MUFGコイン=1円と完全にレートを固定してしまうと、自由度が高い仮想通貨の要件を満たさず、送金上限100万円など利用上の制限が多い電子マネー(前払式支払手段)として扱われる可能性が高いため、固定化ではなく価格を安定的にコントロールするとしています。
その具体的な方法はいまだ示されていませんが、仮想通貨・フィンテックに詳しい野口悠紀雄氏はダイヤモンド・オンラインの記事で、価格安定化のハードルは極めて高いと指摘しています。
コインの売却注文が大量に出たときに備えて、MUFGは理論的には発行額と同額の流動資産を準備金として保有しておく必要があり、発行額が増加すればするほど収益を圧迫する恐れがあることや、完全固定でない以上は投機を100%排除することはできず、銀行側が損失を被る恐れがあり、損失が出ないよう売り買いのスプレッドを広げると、手数料の高さから利用者が減少してしまうというジレンマなどが代表的なものです。
MUFGコインは仮想通貨関連法が施行(2017年4月)される相当以前の、2016年初頭時点で開発が進行中であることをメディアが報じており、大手銀行らしく相当の準備期間を掛けているプロジェクトですが、その後の法整備や仮想通貨を取り巻く環境の変化に完全に追いつけているとは言い難いのが実情です。
電子マネー的でありながら、電子マネーの制約を逃れようとする制度設計には無理矢理な感じが否めず、電子マネーと仮想通貨の両方の要素を併せ持つデジタル通貨が本格的に普及するためには、資金決済法など関連法の改正が必要となりそうです。
本日、こちらからは以上です。