ビットコインの値動きや最新情報を、あなたに分かりやすく伝えたい

分かりやすさ重視で、技術的な説明は極力省きます。噛み砕きすぎて一部不正確だったり、解説に主観が交じったりもしますが、分かりやすさ重視のためとご理解ください。

テザー(USDT)疑惑再燃で一段安|bitFlyerの新規通貨はリスク(LSK)

本日2018年1月31日(水)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,079,000円前後(時価総額:約18.17兆円)です。

昨日の同時刻帯より12万円ほど安い水準です。
コインチェック事件に加え、仮想通貨デザー(USDT)を発行するTether社への疑惑が再燃して、売り優勢の相場展開となっています。
日本時間1月31日午前3時台には10,000ドルの大台を割り込んだものの反発を見せ、その後も前回急落時の反発ポイント10,000ドルを挟んだ攻防が続いています。

なお、1月中に発表予定と告知されていた国内最大手取引所bitFlyerの新規取扱通貨は本日1月31日午後2時30分頃、本命の一つと噂されていた「リスク(LSK)」と発表されました。
早速取引が開始され、急騰し始めているものの、国内で唯一先行して上場していたコインチェック社が取引停止中で購入できない投資家層も多いと見られ、過去事例のように勢いが継続するかは不透明です。

本日の記事では、コインチェック事件の続報と、相場下落要因として再燃している仮想通貨テザー(USDT)を巡る疑惑、Facebookが仮想通貨やICO関連の広告を全面禁止するという発表を取り上げたいと思います。

 

【1】出金再開見通しは来週以降、SBI北尾社長は自社戦略を狂わせられて激怒

時価580億円相当のネム(XEM)流出事故以降、12種類のアルトコインの取引と全ての出金を停止したままのコインチェック社は30日深夜、出金再開見通しを数日中にも明らかにすると発表しました。

コインチェック社の今回の措置については、顧客からのクレームが連日殺到しており、なかには出金停止措置が当局の意向と勘違いした投資家が金融庁へクレームを入れるケースもあるようで、金融庁の業務改善命令とは関係なく、自主的に出金を停止している旨を強調するよう指導が入った可能性もありそうです。

出金再開の予定につきまして | コインチェック株式会社

 

コインチェック事件は多くの投資家、関係企業を巻き込む騒ぎとなっていますが、グループ内で専門子会社を次々と設立し、仮想通貨を基盤とした新たな金融生態系の構築を推進していたSBI北尾社長は、仮想通貨への信頼を大きく揺るがした同社に怒りを爆発させており、30日の決算説明会では「最も腹が立つのはシステムに金を払うべきなのに、客を集めるCMで多額の金を払ってる」「こういう輩はカス中のカス」など、厳しく批判しています。

同グループの仮想通貨取引所SBIバーチャルカレンシーズは、昨年12月に事前登録者向けの口座開設申込受付を開始し、1月中にも取引所をオープンすると見られていたものの、30日には口座開設手続きなどを2月以降に延期する旨を発表しており、コインチェック事件の影響を感じさせます。

コインチェック社に対して、楽天やSBIなど大手企業による救済買収を期待する声も投資家層から上がっていましたが、北尾社長は「私どもはこんな会社に投資してない。一切の付き合いをやめると宣言してる」とバッサリ斬って捨てています。

dialog-news.com

 

先週木曜日まで「急成長を遂げた日本有数のスタートアップ企業」として、高い注目と羨望を集めてきたコインチェック社は、ハッキングの被害者にも関わらず、社内管理体制の甘さと事件後対応の不味さが相まって、犯罪者を見るような目線で世間から睨まれるという、何とも厳しい状況に追い込まれています。

 

【2】仮想通貨テザー(USDT)を巡る疑惑再燃で、相場は一段安

コインチェック事件後も、日本のいち取引所の問題として大きく崩れることがなかった仮想通貨マーケットでしたが、ブルームバーグが日本時間1月31日未明に、仮想通貨テザー(USDT)を発行するTether社と、関連会社である香港大手取引所Bitfinexに対して、米商品先物取引委員会(CFTC)が昨年12月に召喚命令を出していたと伝えたことで一段安となりました。

www.bloomberg.co.jp

 

テザー(USDT)は、1USDT=1米ドルでペッグされた「デジタル米ドル」とされており、投機目的というより、仮想通貨取引を行なう際の基軸通貨や、相場急落時の退避目的、取引所間の送金用などとして用いられています。
現時点では、1USDT=0.98米ドル前後で取引されています。

発行額と同等の米ドルなど法定通貨をTether社が確保・管理していることが信用の裏付けとされているものの、本当にTether社が数億ドルとも20億ドル以上とも言われる発行額に値する法定通貨を確保しているのかや、関連会社であるBitfinexと結託した相場操縦を疑う声が以前から多くありました。

仮に、法定通貨の裏付けがないまま大量発行したテザー(USDT)を用いてビットコインを購入していた場合、当局の検査前にビットコインを大量決済して換金する可能性や信用不安が広がる恐れがあり、相場はネガティブに反応しています。

一方、Tether社とBitfinexは米国外企業であり、Tether社は今年1月から米国籍を持つ人のUSDTの使用・保持を禁じる利用規約変更に踏み切ったため、米商品先物取引委員会(CFTC)の召喚命令について実効性を疑う声も出ています。

 

【3】Facebookが仮想通貨、ICOの広告全面禁止、業界団体も表現規制へ

Facebookが30日、「誤解を与えたり虚偽を含んだりする金融商品の広告は受け入れない」として、仮想通貨やICOについての広告を全世界で禁止することを発表しました。

仮想通貨ブームを受けて、ネットワーク効果が高いSNS上では聞いたことがないような仮想通貨の販売やICOを告知する広告が氾濫しており、Facebookは子会社のインスタグラムも含めて、詐欺的かかどうかにかかわらず仮想通貨関連の広告を全面禁止する方針と見られています。
仮想通貨業界にとってみれば新規顧客を獲得する手段が制限されることになり、Twitterなど他のSNSも追随すれば、より大きな打撃となりそうです。

www.nikkei.com

 

なおコインチェック事件を受けて、業界団体である日本仮想通貨事業者協会(JCBA)と日本ブロックチェーン協会(JBA)は1月29日、適切な広告の表現や管理体制などを加盟企業に求める自主規制方針を発表しました。
コインチェック社が事件前に大量のテレビCMを放映するなど、セキュリティ管理体制の強化より集客プロモーションを重視していたと批判されていることが背景にあります。

広告表現などについての業界自主規制は、金融業界では一般的に取り入れられている中、いまだ有力取引所間での対立や方向性の違いを背景に、業界団体が分裂したままであるなど、意思統一に時間が掛かる状態であったことで、自主規制を始めとする様々な決め事が後手に回っている感は否めません。

仮想通貨取引の広告取扱いに関する会員への要請について | 一般社団法人 日本仮想通貨事業者協会(JCBA)

仮想通貨交換業に関する広告等の表示及び景品類の提供についての留意事項 | JBA

 

本日、こちらからは以上です。

 

事件後対応に苛立つ金融庁|コインチェック高収益ビジネスモデルの裏側

本日2018年1月30日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,198,000円前後(時価総額:約20.17兆円)です。

昨日の同時刻帯より6万円ほど安い水準です。
日本時間1月29日夕方より下落傾向が鮮明となりました。
コインチェック事件が連日ニュース番組で取り上げられるなど話題を独占する中、コインチェック社の取引・出金停止は依然解除されず、昨日出された関東財務局による業務改善命令が問題の長期化を予感させるなど、他の取引所を利用する投資家の間にも重いムードが漂いつつあります。

本日の記事では、コインチェック事件後の同社並びに仮想通貨業界の動きに苛立ちを隠せない金融庁と、463億円の補填を表明したコインチェック社の企業規模や高収益ビジネスモデルについて取り上げたいと思います。

 

【1】コインチェック事件で、同社と仮想通貨業界に苛立つ金融庁

金融庁が、580億円相当の流出事故を起こしたコインチェック社に報告を求めたところ、極めて不十分な報告内容であったことや、ガバナンス不在と疑われる管理体制だったことに、厳しい目線を向けています。

今回の事故についての原因究明や顧客への適切な対応、責任の所在の明確化、再発防止策などを2月13日(火)までに書面提出するよう求める業務改善命令が出されましたが、当局が納得できる内容でなかった場合は何度も再提出させられることになる可能性が高く、問題の長期化が懸念されます。

jp.reuters.com

 

金融庁は仮想通貨業界に対して、コインチェック事件を業界全体の問題と捉えて対処するよう求めているものの、自主規制団体がマネーパートナーズを会長職に置き、ほぼ全ての取引所が加盟する日本仮想通貨事業者協会(JCBA)と、bitFlyerを代表理事に据える日本ブロックチェーン協会(JBA)に分裂したままで、統合話が一向に進んでいません。
なお、コインチェック社は両方の団体に加盟しています。

日経新聞などは今回の事件を受けて2つの団体が統合する方針を固めたと報じましたが、すぐさまJBA側が報道内容を事実上否定するコメントを発表しています。
統合が進まない背景には、業界内の主導権争いや、大手取引所間の軋轢があると見られており、金融庁幹部も「業界が一大事なのに内輪もめしている場合か」と苛立ちを隠せない状況です。

www.nikkei.com

 

一部報道に関してコメントを掲載いたしました | JBA

 

【2】463億円補填表明のコインチェック社、高収益を生み出すビジネスモデル

今回流出したネム(XEM)は時価総額580億円、保有者数は26万人と発表されており、企業規模を示すデータは全て未開示ではあるものの、13通貨を取り扱うコインチェック社全体での預かり資産は数千億〜1兆円レベル、利用者数は100万人規模と見られます。

また、同社の大塚取締役は出演したテレビ番組で月間取引高は4兆円(昨年12月度)と発言しており、レバレッジ取引を含むと10兆円近いbitFlyerに軍配が上がるものの、ビットコイン現物取引では国内トップの取引高を誇っています。

一方、国内10数社ある仮想通貨取引所の中でも、コインチェック社は特殊な仕組みでサービスを運営しており、ビットコインだけは顧客同士の取引をマッチングさせる証券取引所と同様の取引所方式で、その他12種類のアルトコインは同社が取引の相手方となるFXと同様のOTC、いわゆる販売所方式を採用しています。

ビットコイン取引は手数料無料でサービス提供しており、収益源とはならない反面、アルトコイン取引は5%前後の手数料を上乗せしたレートで売買サービスを提供し、その差益で相当の利益を得ています。

昨年12月の月間取引高4兆円のうち、その多くは手数料無料のビットコイン取引と考えられるものの、仮に10%相当の4,000億円がアルトコイン取引だったとすれば、4,000億円×手数料5%=200億円の粗利益を12月単体で得ていた計算となります。
昨年12月は仮想通貨マーケットが急騰し、過去最高の取引高を記録した月であったため、突出した利益になったとは言え、かなりの高収益体質であることは伺えます。

今回同社が補填を表明した463億円は、資本金1億円未満のベンチャー企業がひねり出せる額としては相当に多額ですが、これまでの内部留保と今後の収益性を鑑みて、補填可能と判断したように見受けられます。

同社がデータ開示を渋るのは、利用者の間で同社のアルトコイン取引手数料の高さは有名であったものの、具体的な数値でこのような高収益構造を知られたくなかったことも一因と言えそうです。

 

【3】高収益ビジネスモデルの裏に、顧客資産管理体制についての疑惑も

コインチェック社のアルトコイン取引は、顧客の注文に合わせて海外大手取引所Poloniexにカバー取引を行なう形で実現しています。
顧客に提示する価格やチャートも、Poloniexのビットコイン建てレートを基に、BTC/JPYレートを掛け合わせて円建てレートを生成していると見られます。

以前から取引している人の間では知られている公然の秘密とは言え、最近参入した投資家の間ではコインチェック社がアルトコイン取引を停止しているのにもかかわらず、レートが動いていることを不思議がる人も出ています。

今回の流出事故により仮想通貨資産に対するセキュリティ管理体制の甘さが露呈した格好ですが、今度は販売したアルトコインを全量自社保管していない可能性や、顧客資産と自己資産の分別管理体制についての疑惑も浮上し始めています。


顧客から注文がある都度、外部取引所でカバー取引を行なう場合、当然ながら購入資金が必要となる一方、元手となるビットコインの送金には時間が掛かりますので、カバー取引のための資金を予め外部取引所に預託しておく必要が生じます。

カバー取引資金が全て自己資金であれば、顧客とのアルトコイン取引を成立させた後、すぐに外部取引所でカバー取引を成立させ、そのアルトコインを自社に送金することで問題なく成り立ちますが、これにはある程度の自己資金と頻繁に出し入れする精密な資金コントロールが必要です。
また、ビットコインネットワークが混雑して送金詰まりが起きると、更にコントロールの難易度は増します。

仮に、この問題を回避するために、カバー取引資金として顧客資産の一部を事前に外部取引所に回していたとすれば、分別管理違反と見做される恐れがありますし、事前にまとめて購入した分を販売する方式では自社分と顧客分が混在して管理されている可能性が指摘され、また、売り買いがある程度自社内で相殺されることを見越して毎回カバー取引および自社への送金作業を行なっていないケースにおいては、顧客保有数量分のアルトコインを自社ウォレットで保管していない(不足している)時期がある疑いが生じます。

今のところは全て推測に過ぎないものの、セキュリティより利便性や収益性を追求してきた実態が明るみになったことや、株主の意向という名の秘密主義を貫こうとする企業文化が、様々な疑いを加速させている面は否めません。

今後の金融庁への報告並びに事情聴取においては、顧客資産の分別保管体制に不備はなかったかどうかも焦点の一つとなりそうです。

 

本日、こちらからは以上です。

 

金融当局がコインチェックに改善命令|取引・出金停止の異常事態が続く

本日2018年1月29日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,256,000円前後(時価総額:約21.14兆円)です。

先週金曜日の同時刻帯とほぼ変わらない水準です。
国内2位の大手取引所コインチェック社から時価580億円のネム(XEM)が盗難された事件で揺れた週末となりましたが、同社が463億円を自社で補填する方針を示したことで、日本時間1月26日夕方に111万円台まで下げていたビットコイン価格は、28日午後には128万円台まで回復しました。
本日やや下げたものの、120万円台半ばをキープしています。

本日の記事では、2014年のマウントゴックスを超える国内過去最大の被害額となったコインチェック社の資金流出事故の続報と、仮想通貨マーケットに及ぼす影響などを取り上げたいと思います。

 

【1】コインチェック社に金融庁が業務改善命令、正式な報告を求める

日本時間1月29日午後2時、顧客預かり資産の流出事故を起こしたコインチェック社に対して関東財務局から業務改善命令が出されました。
書面報告を受け取った後、正式な処分内容を決定する流れと見られます。

コインチェック株式会社に対する行政処分について:財務省関東財務局

(1) 本事案の事実関係及び原因の究明

(2) 顧客への適切な対応

(3) システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化

(4) 実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等

(5) 上記(1)から(4)までについて、平成30年2月13日(火)までに、書面で報告すること。

 

コインチェック社は28日、顧客に補填するための原資は現預金など自社の保有資産で賄えると説明してはいるものの、報告を受けた金融庁サイドは納得していない模様です。

昨年の業績が好調だったとは言え、現時点では463億円もの円資産を保有しているとは考えづらく、また自社資産の多くは仮想通貨として抱えている可能性が高いことから、一気に全額出金される可能性は低いと読み、その間に資金を手当することを目指した時間稼ぎではないかと疑う声も一部で聞かれます。

www.yomiuri.co.jp

 

また昨年9月末、他の大手取引所が仮想通貨交換業の金融庁登録を受ける中、コインチェック社は継続審査対象とされ、その後4ヶ月経った現在でも認可が下りておらず、みなし登録業者という状態が続いています。
同社がZcash(ZEC)、Monero(XMR)、Dash(DASH)など匿名性が高く、ダークマーケットで悪用されやすい仮想通貨を、国内で唯一取り扱っていることに金融庁が難色を示していると以前から囁かれてきました。

更に今回、セキュリティ管理体制が甘かったことが露呈し、今回の危機を乗り切ったとしても、コインチェック社の金融庁登録は相当遠のくことになりそうです。

headlines.yahoo.co.jp

 

【2】コインチェック事件、仮想通貨マーケットへの影響は?

ネム(XEM)大量流出の噂が流れた1月26日夕方、仮想通貨は全面安となったものの、コインチェック社が流出を認める頃には反発を始めており、補填の方針が示されたことで安心感が広がり、相場は更に反発しました。

ただ、これはコインチェック社が26日夕方以降、ビットコイン以外の取引や全ての出金を停止したため、本来大量に出るはずの投げ売りが制限された影響が大きいと見られます。

同社は出金を停止した理由を、不正送金の原因調査のためとしていますが、日本円の出金まで停止したのはパニック的な出金集中による社内資金流出を食い止める狙いがあると推察され、すぐに退避したい投資家から批判の声が殺到しています。

 

本日の業務改善命令は、2月13日(火)までの書面報告を求める内容でしたが、気になるのは現在停止されている取引・出金の解除がいつになるかという点です。
取引と出金の停止が解除されれば、不安と不満を募らせた投資家の大量決済・出金が集中することで、相場が崩れる恐れがありそうです。

万一、長期に渡って取引・出金の停止を解除せず、現状を維持するようなら、投資家は取引の決済すらできない状態で放置されることとなり、今のところ相場は落ち着いているものの、暴落でもすれば大変な訴訟沙汰となりそうなため、早期の解除が期待されます。

金融庁からの処分内容は、2月13日の書面提出後、一定期間を経てから通知される流れと見られ、一部業務停止処分となれば、FXなど他の金融取引の事例を参考にすると、新規取引や口座開設、入金は処分明けまで停止となり、顧客が退避できるよう決済取引や出金のみ認められるのが通例であるため、そうなればコインチェック社は更に苦境に追い込まれ、相場は一旦崩れる可能性が高そうです。

また、金融庁がコインチェック社の補填方針と業務継続を認めた場合でも、出金停止解除とともに大量の出金が重なれば、自社保有の仮想通貨を換金のために大量放出する可能性は否定できないため、相場急落に注意する必要がありそうです。


なお、コインチェック社は国内でビットコイン決済サービスの普及に最も力を入れていた企業でもあり、導入店舗数は少なくとも1万以上はあると思われます。
今回の影響でビットコイン決済サービスの提供は中断された上、同社のサービスを利用する店舗は受け取った代金の出金もできない状態となるなど、様々な悪影響が拡がっています。

 

【3】時期が非常に悪かったコインチェック社のハッキング事件

コインチェック社のようなハッキング被害は、海外の取引所でこれまで何度も発生していましたが、今回は被害額もさることながら、時期や相場状況が悪く、ダメージが広範囲に広がりそうです。

2016年の事件なら取り得た奇策

2016年8月、香港大手取引所BitFinexがハッキング被害に遭い、預かり資産の36%にあたる12万BTC(当時時価で約80億円)を盗まれる事件があり、倒産やむなしと見られましたが、同社は今後の売上で被害額を返済するための債務トークンを独自発行して、被害を受けた顧客に代替配布するという奇策を打ちました。
倒産よりマシと考えた投資家もそれを受け入れ、結果2017年4月までに同社が全てのトークンを買い戻して完済するという奇跡的な決着となりました。

今回も同様の手法を提案する人もいましたが、2016年当時であればともかく、仮想通貨関連法が施行され、金融庁管轄下に置かれた現在の仮想通貨取引所の立場では、様々な関連法に抵触するであろう同様の奇策は取れそうにありません。

cryptocurrencymagazine.com

 

2017年の事件なら慌てずに済んだ納税対策

今回本当にタイミングが悪かったのが、多額の利益を得た投資家が続出した2017年度の取引が終了し、その確定申告を直前に控えた時期だったことです。
多額の納税を求められる投資家の多くは、コインチェック社を含めて取引所に大半の資金を預け入れたまま取引を継続していると見られ、取引・出金を停止したままだと納税資金も取り出せず、ここ最近の相場下落でダメージを受けた資産が更に目減りすると、納税資金が不足する恐れすらあります。

急騰を続けた2017年度中に起きた事件であれば、資金が目減りしても年度内の利益が相殺されるだけで納税資金に困ることはなかったのですが。

 

本日、こちらからは以上です。

 

 

【韓国】取引禁止は更に一歩後退か|ヤマダ電機がビットコイン決済導入

本日2018年1月26日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,252,000円前後(時価総額:約21.07兆円)です。

昨日の同時刻帯より2万円ほど安い水準です。
次の材料待ちで円建ては120万円台半ば、ドル建ては11,000ドル台で上下動する展開が続いています。

本日の記事では、韓国の仮想通貨規制に関連した最新ニュースや、家電販売大手のヤマダ電機がビックカメラに続いて導入を決めたビットコイン決済についての情報をお届けいたします。

 

【1】文大統領の支持離れに仮想通貨規制も影響、全面禁止は更に一歩後退か?

仮想通貨取引規制を巡って政府内調整が続いている韓国で、今度は国民年金管理公団がベンチャーキャピタル(VC)のファンドを介して、仮想通貨取引所運営会社4社に26億ウォン(約2.6億円)を出資していたことが明らかになりました。

直接的な出資ではなく、ファンドを介した間接投資ということで、国民年金管理公団側は「投資先の意思決定には関与していない」と釈明しているものの、ハイリスク投資と位置付けられ、全面禁止騒動に揺れている仮想通貨取引所へ、保守的な運用が求められる年金マネーが流入していたことが問題視されています。

m.news.naver.com

 

また、文在寅大統領の支持率が初めて60%を割り込んだことが話題となっていますが、平昌オリンピックでの女子アイスホッケー南北合同チームの結成が主な批判要因と見られるものの、仮想通貨取引に対する規制への動きも文大統領の支持層であった20代・30代の支持離れの一因となっている模様です。

japan.hani.co.kr

 

韓国の金融当局は1月25日、情報機関と共同でマネーロンダリングや不正行為が起きないよう仮想通貨取引所を監督するタスクフォースの設立を発表しました。
金融当局は仮想通貨取引所が継続することを前提に規制強化を進めていることから、法務部が強硬に主張する取引全面禁止案は、政権に及ぼす様々な影響が考慮されて更に一歩後退したと見て良さそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【2】ヤマダ電機がビットコイン決済を導入、来日観光客の支払が急増

国内最大手取引所bitFlyerが1月27日より、家電販売大手のヤマダ電機に対してビットコイン決済サービスの提供を開始すると発表しました。
目先は東京都内2店舗で試験的に導入し、その後全国展開を目指すとしています。

bitFlyerは昨年4月より、ビックカメラへビットコイン決済サービスの提供を開始し、昨年7月からはビックカメラ全店舗に導入を拡大しており、今回も対応スタッフの習熟度などを計りながら、同様の手順で全国に広げていく構えです。

家電量販店でビットコイン決済を利用するのは、主に中国人などの来日観光客と見られ、今回bitFlyerは、同社サービスを利用した2017年度の決済金額は前年の50倍以上となり、決済金額が月間数千万円を超える加盟店も増加していると発表しています。

昨年以降、中国で仮想通貨取引規制が段階的に強化され、国内で利用・換金できる場所が制限されてきていることが、来日時のビットコイン支払の急増を後押ししていると言えそうです。

bitFlyer|ヤマダ電機へのビットコイン決済サービス提供のお知らせ

 

本日、こちらからは以上です。

 

格付けはイーサリアムが今回最高の「B」|金とビットコインは逆相関か

本日2018年1月25日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,275,000円前後(時価総額:約21.45兆円)です。

昨日の同時刻帯より9万円ほど高い水準です。
韓国の取引規制を警戒するムードが和らぎ、日本時間1月23日午後8時台に10,000ドル割れを記録して以降、じわじわと値を切り上げる展開が続いています。

本日の記事では、昨夜発表された米格付機関ワイスレーティング社による仮想通貨格付けの結果と、金価格急騰の背景にビットコインの暴落があると指摘する東洋経済ONLINEの記事を取り上げたいと思います。

 

【1】格付けはビットコインが「C+」、イーサリアムは今回最高の「B」

米独立系格付機関ワイスレーティング社による仮想通貨の格付け発表が予定通り、日本時間1月24日午後11時頃に行なわれました。

「A」= excellent、「B」= good、「C」= fair、「D」= weak、「E」= very weakとする評価において、「A」を獲得する仮想通貨はなかったものの、ビットコインが「C+」、イーサリアムが今回最高の「B」と判定されました。

一方、格付け結果が一般公開された仮想通貨は例示としての5種類のみで、今回格付けを行なった全74種類の格付け結果と判定の詳細については明かされず、有料サービスへの申し込みを促す内容だったことから肩透かし感が否めませんでした。

発表時刻には普段ほぼ訪問者がいないアジア勢からもアクセスが集中してWebサイトが一時接続不能になった他、期待した発表内容ではなかったことに反発した韓国勢から大規模なサイバー攻撃があったと公式ブログで明かされています。

Korean Cyberattack Fails to Foil Crypto-Ratings Release | Weiss Cryptocurrency Ratings

 

なお、全74通貨の格付け結果はインターネット上で既に流出しており、その内容を見ると「C」が圧倒的多数で、「B」がイーサリアムなど5種類、「D」がビットコインゴールドなど15種類、「A」と「E」はゼロとなっています。

最も高い評価を得たイーサリアムは発表直後、急騰するもすぐに値を戻しましたが、本日全面高となった仮想通貨の中でも、イーサリアムを含めて「B」評価のものは一段高となっており、格付け結果が影響を及ぼしていると言えそうです。

 

【2】金とビットコインは逆相関?金価格急騰の背景にビットコイン暴落

東洋経済ONLINEは25日、金価格が急上昇している背景にはドル安やバブル警戒、漠然とした不安心理があるとしたほか、ビットコインの暴落が影響を与えていると指摘する記事を公開しました。

記事内では、昨年12月初頭〜中旬までビットコインが上昇する中、金が下落し、12月中旬以降はビットコインが下落する中、金が上昇するという逆相関性を示したグラフを紹介しています。

ビットコインと金は、通貨の代替手段としての性質が似通っていること、又、金先物やFXの利用者がビットコイン市場に流れ、投資家層が重なっていることで、相場状況に合わせて資金が行き来していると見ているようです。
確かに昨年9月以降から見てもビットコインが大幅上昇する中、金価格は下落しており、少なくともここ数ヶ月は逆相関の関係にあると言って良さそうです。

ビットコインは以前から決済通貨というより「デジタルゴールド」と捉える向きも多く、各国の規制問題が一段落してビットコイン市場が今より成熟し値動きが落ち着いてくれば、金とビットコインの逆相関性を利用したヘッジ取引などが一般的になってくるのかもしれません。

toyokeizai.net

 

本日、こちらからは以上です。

 

今夜発表、米格付機関の仮想通貨格付け|【韓国】公務員保有は申告制へ

本日2018年1月24日(水)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,185,000円前後(時価総額:約19.94兆円)です。

昨日の同時刻帯とほぼ変わらない水準です。
昨日1月23日午後8時台にドル建て市場で10,000ドル割れを記録したものの、すぐに反発して24日午前2時頃には124万円台、11,300ドル台まで戻しました。
その後は再び売り優勢で下落する展開となったものの、目先の底値は10,000ドルと意識されているようで、売り方も深追いは避けている雰囲気です。

本日の記事では、米独立系格付機関が主要仮想通貨の格付けを今夜発表するとして注目を集めている件と、韓国で公務員の仮想通貨保有に対して申告を義務付ける法案が発表されたというニュースを取り上げたいと思います。

 

【1】米格付機関が主要仮想通貨の格付けを今夜発表、相場は反応するか?

米独立系格付機関であるワイスレーティング社(1971年創業)が、ビットコインを始め、時価総額ランキング上位の仮想通貨10数種類についての独自の格付けを、現地時間24日午前9時頃に発表すると告知しており、注目を集めています。
(日本時間では24日午後11時頃)

米独立系格付機関ワイスレーティング社

同社は評価対象から一切報酬を受け取らないことを特徴とし、米国会計検査院などの政府団体からも独立性、正確性で注目されているとされています。

今回同社では、各仮想通貨の価格データや関連情報を収集し、収益性やリスク、テクノロジー、実用性など4種類程度の観点から総合的に評価して格付けする模様で、格付対象は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ビットコインキャッシュ(BCH)、カルダノ(ADA)、ライトコイン(LTC)など時価総額ランキング上位銘柄10数種類となる見込みです。

初の試みだけに、相場にどの程度インパクトを与えるか今のところ不明ですが、基軸通貨であるビットコインは無難な評価となりそうな一方、このところビットコインと完全連動しているアルトコインのうち、思わぬ高評価や低評価を受けたものが材料視されて、独歩高・独歩安となる展開もあり得るため、評価の妥当性も含めて市場関係者は興味深く結果発表を待っています。

 

なお国内では、SBIグループの格付機関モーニングスター社が、仮想通貨及びICOの格付け事業の準備を進めています。

国内初、仮想通貨及びICOの格付け開始について | モーニングスター

 

【2】韓国、公務員の仮想通貨保有は申告義務付けへ、インサイダー取引疑惑が契機

仮想通貨取引規制を巡って揺れている韓国において、1,000万ウォン(約100万円)以上の仮想通貨を保有する公務員に対して申告を義務付ける国家公務員倫理法の改正法案が発表されました。

この背景には、金融当局職員が規制案を発表する前に保有していた仮想通貨を売却して利益を得ていたとするインサイダー取引疑惑が、国民から強い反感を買っていることが挙げられます。

当職員は法律上の規定がないため刑罰は免れる見込みですが、規制強化を進めたい当局と規制反対請願に20万人以上賛同するなど取引禁止を回避したい国民との間で押し合いが続く最中の事案だけに、国家公務員倫理法により制限を掛けることで、同様の事例を予防し、国民の反発を和らげようとする狙いがありそうです。

coinpost.jp

 

韓国では取引所への実名登録制や公務員申告制など建設的な規制が進んでいるため、取引全面禁止を警戒するムードは少しずつ和らいできた感じがするものの、昨日のロイター社の報道によれば、政府内ではいまだに全面禁止が必要か否かの議論が続いているようですので、引き続き情勢を注意深く見守る必要がありそうです。

 

本日、こちらからは以上です。

 

【韓国】取引所の調査結果報告へ|bitFlyerの欧州進出と1月中の発表予定

本日2018年1月23日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,190,000円前後(時価総額:約20.02兆円)です。

昨日の同時刻帯より12万円ほど安い水準です。
円建てで130万円、ドル建てで11,500ドルを挟んでの膠着相場が続いていましたが、日本時間1月22日午後10時頃よりドル建て市場で相場が突如崩れて、約40分間で129万円から118万円(11,700ドルから10,400ドル)まで急落しました。
その後も弱気な展開が続き、1月23日午前6時台にはドル建て市場で10,000ドル割れ寸前まで値を下げたものの、そこで下げ止まり反発しました。
ただ午後に入り、再び売りに押されています。

値を上げたいアジア勢に対して、このところアメリカ勢は売り優勢で、NY時間に入ると値を下げる傾向が見受けられることから、警戒感とともにドル建て市場の値動きを見守る展開が続いています。

本日の記事では、韓国金融当局が仮想通貨取引所の調査結果を報告するという発表や、国内最大手取引所bitFlyerが欧州で事業を開始したニュースと、1月中に予定されている仮想通貨相場に影響を与える2つのリリースについて取り上げたいと思います。

 

【1】韓国、取引所調査結果報告へ、規制・ペナルティ次第で一段安or反発か

韓国の金融当局は1月23日午前、仮想通貨取引所の調査結果を報告すると発表しました。
(1月23日午後3時時点では、詳細はまだ報じられていません)

btcnews.jp

 

マネーロンダリングに関連する違反事項が見つかっていると報じられているものの、匿名口座が黙認されていた状況を鑑みると、それ自体は予測の範囲と言え、当局が取引所および対象者にどのようなペナルティを課すかに注目が集まります。

取引所への実名登録制は予定通り30日から開始され、未成年や非居住外国人が韓国の仮想通貨マーケットから排除されることとなりますが、これまで受付を停止していた新規投資家の口座開設も、制度上はこれを機に再開される見通しです。

ここ数日の動きを見る限り、取引所の全面閉鎖は一旦遠のいた印象ではありますが、政情や感情論で変化しやすい韓国政府の方向性は読みづらく、まずは匿名口座排除以外の規制内容や違法行為へのペナルティなど不明な部分が明らかになった段階で、相場は一段安、又はアク抜けと見て反発することになりそうです。

headlines.yahoo.co.jp

 

【2】bitFlyerが米国に続き欧州で事業開始、乖離縮小制度・新コイン発表も間近

国内最大手取引所bitFlyerが、ルクセンブルク金融監督委員会の指導のもと仮想通貨事業ライセンスを取得し、1月23日よりEUで事業を開始したことを発表しました。

bitFlyerは昨年11月、NY州の仮想通貨事業ライセンスを取得するなど米国42州で取引所運営許可を得て事業を開始しており、日本・米国・EUでの仮想通貨事業ライセンス取得は世界初、としています。

EU子会社では、BTC/EURの通貨ペアから取扱を始め、2018年中にイーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアムクラシックなど、日本拠点と同様の仮想通貨を取り扱っていく模様です。

bitFlyer|EUROPE S.AのPayment Institution License取得及び欧州事業開始のお知らせ

 

なおbitFlyerは、今月1月中に「現物とFX価格の乖離縮小制度の導入時期」と「新しいアルトコインの取扱開始」の発表を控えており、今回の発表を皮切りに今週中にも続いてリリースが出る可能性が高そうです。
いずれも相場に影響を与える事案だけに、高い注目を集めています。

現物価格とFX価格の乖離縮小を目的とした制度導入(1月中)

現物価格と最大15倍のレバレッジが効くFX価格の乖離縮小を目的とした新制度。
10%超に乖離が拡大する約定取引には約定代金0.5%〜3%のペナルティを徴収し、取引の相手方に付与。

⇒上昇時にFXが現物の価格上昇を待つ必要があり値動きが重くなる可能性があります。
⇒下落時にFXでロスカットが多発すれば、乖離が一時的に逆転する可能性があり、1月16日の暴落時のように現物が連動して大幅安となる局面がありそうです。

bitFlyer|現物とFX の価格乖離の縮小を目的とした「SFD」導入予定について

 

新しいアルトコインの取扱開始(1月中)

ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)、イーサリアムクラシック(ETC)、モナコイン(MONA)に続いて新しく取り扱う仮想通貨を発表予定。
国内最大手取引所が取扱を開始するインパクトは大きく、昨年10月2日のモナコイン取扱開始時には、9月末の50円から2週間で一時700円を突破するなど急騰。

⇒人気が高いリップル(XRP)、ネム(XEM)を期待する声が大きい。
⇒国内初のビットコインゴールド(BTG)か、リスク(LSK)と読む声も多い。

 

 

本日、こちらからは以上です。

 

本ブログはビットコインなどの情報提供を目的としますが、内容の正確性を保証するものではありません。仮想通貨の取引はご自身の判断で行なってください。