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年内にもFXレバレッジ上限10倍へ|仏はキャピタルゲイン税を一律19%に

本日2018年5月1日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、979,000円前後(時価総額:約16.65兆円)です。

先週金曜日の同時刻帯より2万円ほど安い水準です。
ドル建ては9,000ドル前後、円建ては100万円前後での小動きが続いています。

本日の記事では、金融庁が年内にもFXのレバレッジを10倍に引き下げる検討に入ったとのニュースや、仮想通貨のキャピタルゲイン税を一律19%に引き下げたフランスの動きなどを取り上げたいと思います。

 

【1】年内にもFXのレバレッジは25倍→10倍へ引き下げ、仮想通貨FXも追随?

2月に有識者会議を立ち上げて議論を進めていたFXの証拠金倍率(レバレッジ)の引き下げについて、金融庁は年内にも上限を現行の25倍から10倍に引き下げる検討に入ったようです。

実現すれば、2010年8月(上限50倍)、2011年8月(上限25倍)以来、7年ぶり3回目のレバレッジ規制強化となります。

国内FX業者からは、高いレバレッジを提供する金融庁未登録の海外業者に顧客が流出する可能性があることから「顧客保護、市場全体のリスク抑制の観点からは逆効果」と反対する声も出ています。

FX市場でレバレッジの引き下げが行なわれれば、業者も顧客も制約の緩い仮想通貨マーケットに流出する可能性が指摘されていますが、仮想通貨交換業の新規登録審査は滞っているため、既に登録済みの業者が有利と言えます。

一方、仮想通貨取引のレバレッジはFXに合わせる格好で最大25倍に設定している企業が多いため、本家FXのレバレッジが引き下げとなれば、価格変動率がFX以上に高い仮想通貨FXにおいても自主規制団体が主導する格好で引き下げる可能性があり、FXから仮想通貨への顧客移動はそれ程の規模には至らないという見方も出来そうです。

www.sankei.com

 

【2】フランス、仮想通貨キャピタルゲイン税を一律19%に大幅引き下げ

フランスは仮想通貨のキャピタルゲイン税をこれまでの最大45%から一律19%へと大幅減税することを決めました。

これまでは工業的、商業的収益と分類されていましたが、フランス最高裁、評議会は「動かせる財産 moveable property」と認識すると決定し、移動が可能な資産、車、飛行機、貴金属、知的財産と同じ扱いとなりました。

フランスは有利な税制を整えることで、仮想通貨およびブロックチェーン業界をうまく取り込み、世界に対して優位な立場を取ろうとするスタンスを明確にした格好です。

bitpress.jp

 

現状、仮想通貨取引に係る所得は日本では雑所得扱いでの総合課税とされ、所得金額に応じて最大55%(住民税含む)の税率が課せられます。
また、アメリカでは株や債券などと同様の扱いで、保有期間1年以上の場合は最大20%、1年未満であれば最大39.6%の税率が課せられる模様です。

日本は税率一律の分離課税となっていないことから、所得がもともと高い人や仮想通貨取引で大きな利益を上げた人には不利な税制となっており、早期の税制改正が望まれています。

ただ、金融庁が事務局を務める形で4月に初会合が開催された「仮想通貨交換業等に関する研究会」では、参加メンバーから「決済手段ではなく、投機対象という現実を考えると規制を見直す必要がある」との主張も飛び出すなど、その定義や法規制のあり方から再度議論を重ねていく可能性も出てきており、税制改正が実現するまでにはまだまだ時間が掛かりそうです。

 

本日、こちらからは以上です。

 

コインチェックの営業利益、SBIのスプレッド戦略が決算発表で明らかに

本日2018年4月27日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,002,000円前後(時価総額:約17.04兆円)です。

昨日の同時刻帯より3万円ほど高い水準です。
9,700ドルから下落に転じたビットコイン相場は、8,600ドル台で踏みとどまり、日本時間4月26日午後6時台より再び上昇し始めています。

本日の記事では、2018年3月期の決算発表で明らかとなったコインチェックの業績や、各社の戦略、見方などを取り上げたいと思います。

 

【1】コインチェックの業績が判明、営業利益は驚きの537億円も流出時価を下回る

ネム流出事故後も、前株主の意向として開示を拒んでいたコインチェックの業績が、親会社となったマネックスの決算資料により、ついに明らかとなりました。

2018年3月期の営業利益は537億円と、噂されていた1,000億円には届かなかったものの、極めて高い利益を叩き出していました。
そのほとんどが、売買のスプレッドが10%近いアルトコイン取引での収益と見られます。
税引き前利益は、支払った補償金などを差し引いた63億円となっています。

一方、ネム流出時点の時価で計算した被害額は、営業利益を上回る580億円であったことから、その金額を弁済することは不可能だったことも見て取れ、同社独自の計算方法により補償額を463億円に減額したのは苦肉の策だったと言えそうです。

補償方針と金額を事件後すぐの1月28日未明に発表したのも、仮に今後レートが上昇してしまうと支払いきれない可能性があったため、早めに決め打ちしたのかもしれません。

また決算資料では、流出事故以降の2月、3月も営業利益は5億円と黒字であることを強調していますが、停止していたアルトコインの売却がようやく可能になったことで、一気に売却が進んだ際の決済手数料収入が主とみられることから、今後も同様に億単位の黒字が続くかは、もう少し状況を見守る必要がありそうです。

マネックスグループ 2018年3月期決算 説明資料

 

【2】SBIは早ければ今夏に取引所開始、業界最小のスプレッドを宣言

仮想通貨子会社を抱えるSBIホールディングスの北尾社長は、昨日26日に行なわれた決済説明会において、取引所事業を早ければ今夏に始める考えを示すとともに、業界最小のスプレッドとグループ力を武器に直ちに業界トップになると宣言しました。

子会社SBIバーチャル・カレンシーズは昨年9月に金融庁登録業者となったものの、秋頃と見込まれていたサービス開始が延期に次ぐ延期で、いまだにスタートしていません。
北尾社長はこの理由を、コインチェック事件を受けてのセキュリティ強化や、金融庁による行政処分の増加、市場の取引高減少などによるものと説明しています。

1月30日に行なわれた前回の決算発表会において、流出事故を起こして金融庁の方針を大きく転換させ、国内の仮想通貨事業に多大な影響を及ぼしたコインチェックに対して、「こういう輩はカス中のカス」とまで言い切り激怒していた北尾社長は、今回の発表会でも「業界最小のスプレッド」を何度も強調し、スプレッドで儲ける取引所は「今後、儲からなくなる」と、コインチェックに強い怒りをぶつけるような発言が相次ぎました。

業界最小のスプレッドを実現する仕組みについては、今後の発表を待つ必要がありますが、金融事業を営むグループ各社の合計口座数が約850万口座とされていることから、上手く連動させれば、口座開設数はスタートから大きく伸びそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【3】参入断念のサイバーエージェント、予定不明のカブドットコム証券の見方は?

一方、コインチェック事件以降、金融庁審査が事実上ストップしてしまったことで、取引所事業への参入を断念した広告大手サイバーエージェントの藤田社長は、26日の決済説明会で、傷が浅いうちに撤退するのが賢明との考えを示しました。

仮に、早期に取引所事業を開始できたとしても、コインチェックのように万一ハッキングなどの被害を受けた場合の、グループ全体に与える影響の大きさを懸念した可能性もありそうです。

同社は次々と新ジャンルに子会社を設立するなど、多角的なビジネス展開を好む一方、期待薄となった事業からの徹底も早いことで知られているため、サイバーエージェントらしい判断との声も挙がっています。

広告・ゲーム事業で利益を稼ぎ出し、「AbemaTV」などメディア事業に注力している今、2013年にはFX事業をヤフーに売却したこともあって、金融事業にこだわる理由が他社より薄いことも一因かもしれません。

www.itmedia.co.jp

 

その他、仮想通貨事業参入の予定は明らかとしていないカブドットコム証券の斎藤社長は、1〜3月のFX事業が好調であったことの背景に、仮想通貨の相場が崩れたことで、個人投資家がFXに回帰している事情があるとの見方を示しています。

業界最大の口座数を有するコインチェックを買収したマネックスや、グループを挙げて仮想通貨事業に取り組むSBIなど、先行する競合の動きを目の当たりにして、その他のネット証券各社も心中穏やかではないように見えます。

www.nikkei.com

 

本日、こちらからは以上です。

 

 

 

みんなのビットコインに行政処分、目を疑う理由|MUFGコインの問題点

本日2018年4月26日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
14時頃のビットコイン価格は、976,000円前後(時価総額:約16.59兆円)です。

昨日の同時刻帯より5万円ほど安い水準です。
ここ2週間ほど10,000ドルに迫る勢いで上昇してきましたが、9,700ドルで頭を抑えられたことで、日本時間4月25日午後より下落に転じました。

本日の記事では、トレイダーズホールディングス傘下のみなし業者「みんなのビットコイン」も数々の問題点が指摘されて金融庁から業務改善命令を出されたことや、MUFGグループが推し進めるMUFGコインの問題点などを取り上げたいと思います。

 

【1】トレイダーズ傘下の「みんなのビットコイン」も業務改善命令

金融庁は4月25日、仮想通貨交換業のみなし業者で、ジャスダックに上場するトレイダーズホールディングス傘下の「みんなのビットコイン」に対し、業務改善命令を出しました。

みんなのビットコイン株式会社に対する行政処分について

法令遵守や適正な業務運営を行なうための経営管理態勢が不十分とされたほか、マネーロンダリングやテロ資金供与対策、法定帳簿の作成・保存、システムリスク管理態勢が構築されていないなど、3月22日からの立ち入り検査で数々の問題点が見つかったようです。

グループには証券やFX事業を営むトレイダーズ証券があることから、金融庁が求める内部管理態勢についての知見・ノウハウは、新興企業より有しているはずですが、システム面はともかく、法定帳簿の作成・保存といったレベルで金融庁から指摘されるのは何とも言えない感じがします。
グループ内の人員不足から手が回っていないのかもしれません。

証券系と言えばGMOクリック証券のグループ会社、GMOコインも3月に同じく業務改善命令を受けましたが、こちらはシステム障害の頻発と対応策が不十分なことが処分理由でした。
昨年9月に金融庁の登録審査を通過していることもあり、法定帳簿レベルの指摘はありません。
登録業者とみなし業者の差は、やはり大きいようです。

 

これでみなし業者16社のうち、撤退もしくは行政処分を受けていない無風の企業は、deBit社のみとなりました。
同社は当初、仮想通貨のデビットカードを作ろうとしていたものの、その後方針転換し、今では仮想通貨事業者同士を繋ぐシステム提供を主としているようです。
昨年6月には仮想通貨決済サービスで、みんなのビットコインとも業務提携しています。

仮想通貨交換業者の登録を得られれば、ビジネスを行なえる領域が格段に広がるため、登録を目指していると考えられますが、そのためにはマネーロンダリングやテロ資金供与対策を始めとする数々の内部管理態勢を整えなければならないため、高収益の取引所事業を抱えていないベンチャー企業にとっては、コスト面でハードルが高そうです。

 

【2】1コイン≒1円でほぼ固定させようとするMUFGコインの問題点

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が自社発行するデジタル通貨「MUFGコイン」は、昨年から社員1,500人が飲食代金の割り勘に使うなどして実証実験に参加しています。
今月からは丸の内本部ビル内のコンビニでも支払対応レジを設けたほか、今後は社員以外にも参加者を広げ、実用化に向けて問題の洗い出しを進めていく方針です。

「MUFGコイン」最大の特徴は、1MUFGコイン≒1円とレートをほぼ固定させることで、投資の要素を排除し、価格変動を気にせず日常使用できることを目指している点です。

1MUFGコイン=1円と完全にレートを固定してしまうと、自由度が高い仮想通貨の要件を満たさず、送金上限100万円など利用上の制限が多い電子マネー(前払式支払手段)として扱われる可能性が高いため、固定化ではなく価格を安定的にコントロールするとしています。

その具体的な方法はいまだ示されていませんが、仮想通貨・フィンテックに詳しい野口悠紀雄氏はダイヤモンド・オンラインの記事で、価格安定化のハードルは極めて高いと指摘しています。

コインの売却注文が大量に出たときに備えて、MUFGは理論的には発行額と同額の流動資産を準備金として保有しておく必要があり、発行額が増加すればするほど収益を圧迫する恐れがあることや、完全固定でない以上は投機を100%排除することはできず、銀行側が損失を被る恐れがあり、損失が出ないよう売り買いのスプレッドを広げると、手数料の高さから利用者が減少してしまうというジレンマなどが代表的なものです。

diamond.jp

 

MUFGコインは仮想通貨関連法が施行(2017年4月)される相当以前の、2016年初頭時点で開発が進行中であることをメディアが報じており、大手銀行らしく相当の準備期間を掛けているプロジェクトですが、その後の法整備や仮想通貨を取り巻く環境の変化に完全に追いつけているとは言い難いのが実情です。

電子マネー的でありながら、電子マネーの制約を逃れようとする制度設計には無理矢理な感じが否めず、電子マネーと仮想通貨の両方の要素を併せ持つデジタル通貨が本格的に普及するためには、資金決済法など関連法の改正が必要となりそうです。

 

本日、こちらからは以上です。

 

GMOコイン、取引激減の3月に過去最高収益|参入意欲が高い米金融機関

本日2018年4月25日(水)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,030,000円前後(時価総額:約17.51兆円)です。

昨日の同時刻帯より2万円ほど高い水準です。
3月8日以来となる10,000ドルの大台回復に向けて上昇を続けていましたが、9,700ドルまで上げた後、売りに押されました。

本日の記事では、GMOの決算発表により明らかとなったGMOコインの業績推移と、仮想通貨事業への参入ムードが高まっている米金融機関の状況を取り上げたいと思います。

 

【1】GMOコイン、1月は大幅赤字も取引高激減の3月に過去最高収益のナゾ

GMOフィナンシャルHDが4月24日、2018年12月期第1四半期(2018年1月〜3月)の決算発表を行ない、子会社である仮想通貨交換業者GMOコインの業績を併せて開示しました。

GMOフィナンシャルHD 2018年12月期第1四半期 決算説明会

GMOクリック証券などによる証券・FX事業の営業利益は、前四半期の+20.8億円から+32.9億円と大きく伸びたものの、GMOコインによる仮想通貨事業の営業利益は前四半期の+4.9億円から一転、7.6億円のマイナスに転じています。

仮想通貨事業の販管費(広告費・人件費など)が前四半期より5.6億円も増加したのに対し、営業収益が8.7億円→1.9億円と急減したことが響きました。
月ごとの推移を見ると、相場が暴落した今年1月に大きな損失を出したことが分かります。

仮想通貨収益の推移
  • 2017年10月 … +8,200万円
  • 2017年11月 … +1億3,700万円
  • 2017年12月 … +6億5,500万円
  • 2018年 1月 … −5億2,300万円
  • 2018年 2月 … +3,500万円
  • 2018年 3月 … +6億8,100万円

 

GMOコインは店頭FXと同様に、会社が売買の相手方となる相対取引方式を採用しているため、同社は常に仮想通貨の在庫を持った上、必要に応じて外部へカバー取引を出す必要があります。
1月の相場暴落時には自社保有分に相当の評価損が出たり、カバー取引が間に合わずに損失を被ったと推察されます。

一方、相場が回復した2月にはほとんど利益が出ず、再び下落した3月には過去最高の収益を上げているため、オペレーション手法を随時変更している様子が伺えます。


ただ気になるのは、積極的なプロモーション活動により、昨年12月の約5万口座から、1月は7万口座、2月は13万口座、3月は14万口座と大きく顧客数を伸ばしているのにも関わらず、取引高は昨年11月の373万BTCをピークに、12月は236万BTC、1月は104万BTC、2月は78万BTC、3月に至っては29万BTCと激減していることです。

取引高が激減し、相場も下落する中でどのように過去最高収益を達成したのか、その施策の効果は今後も継続するのか等、大変興味深いところです。

 

【2】2018年、米金融機関による仮想通貨事業参入の流れが一気に加速か

米ロイター社は、400社以上の自社顧客を対象に実施したアンケート調査において、金融機関の1/5が今後12ヶ月以内の仮想通貨取引の開始を検討しているとする結果が出たことを発表しました。

更にはその70%が3-6ヶ月以内に取引を開始する考えがあるようで、実際そうなれば仮想通貨市場を取り巻く環境が年内にも大きく変化してきそうです。

www.reuters.com

 

また米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、仮想通貨に精通したトレーダーを幹部として迎え入れ、クライアントへの助言業務などを行なう体制を整えつつあります。

同社はCBOE、CMEのビットコイン先物の決済業務を手掛けるなど、仮想通貨に最も積極的なウォール街企業として知られており、仮想通貨の値付けを行なうトレーディングデスクを近いうちに正式オープンするとの噂も流れています。

出資先で仮想通貨決済サービスを手掛けるCircle社が、今年2月に米大手仮想通貨取引所Poloniexを4億ドルで買収していることからも、仮想通貨事業への本格進出は確実と言えそうです。

こうした米金融機関の積極的な姿勢が、底打ちした感があるビットコイン相場に好影響を及ぼしているのかもしれません。

btcnews.jp

 

本日、こちらからは以上です。

 

新協会設立会見で意味深なテックビューロ欠席|イランは仮想通貨禁止に

本日2018年4月24日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,012,000円前後(時価総額:約17.20兆円)です。

昨日の同時刻帯より5万円ほど高い水準です。
日本時間4月24日午前9時台に一段高となり、9,000ドルを一気に突き抜けました。
午後に入ると円建て価格でも100万円の大台に乗せてきました。

本日の記事では、昨夜行なわれた日本仮想通貨交換業協会の記者会見の様子や、イラン中央銀行が仮想通貨取引を全面的に禁止することを発表したニュースなどを取り上げたいと思います。

 

【1】日本仮想通貨交換業協会が記者会見、なぜかテックビューロのみ欠席

4月23日午後6時より、金融庁の登録を受けた仮想通貨交換業者16社により正式発足した日本仮想通貨交換業協会が記者会見を行ないました。

マネーパートナーズ奥山社長が新協会の会長に就任する予定通りの人事でしたが、副会長にはbitFlyer加納社長のほか、ビットバンク廣末社長も名を連ねたほか、理事にはSBI北尾社長、GMOコイン石村社長が入るという、仮想通貨交換事業者としての実績よりも、資本力や企業規模などを重視した陣容となりました。

まずは最低限必要となる自主規制ルールを策定し、各社に遵守させるという自主規制団体としての枠組みを整え、金融庁の認定団体として認められることが当面のミッションとなる中、国際的に求められているマネーロンダリング・テロ資金供与対策を始め、セキュリティ対策、相場操縦・インサイダー取引対策など、課題は当初から山積みです。

それを取り仕切る協会の予算・人員もある程度の規模が必要となることが予想され、協会の理事が大手企業中心となっているのは、そうした事情もありそうです。

業界内の対立や主導権争いで紆余曲折を繰り返した同協会が設立にこぎ着けたのは、コインチェック事件により金融庁の引き締めが強まり、一致団結せざるを得なかったのが最大の理由ですが、記者会見はマネーパートナーズ奥山社長が中心になって回答し、技術的な部分についてはbitFlyer加納社長が補足するといった役割分担の中、安定感のある応答ぶりで大きな山場もなく粛々と進行した印象です。


一方、最も注目されたのは登録業者16社のうち唯一記者会見に欠席したテックビューロです。
大阪拠点の同社は「遠方のため欠席」と説明がありましたが、同じく大阪拠点のフィスコやXthetaが出席する中、代理人も出席させない姿勢に裏事情を勘ぐる声が挙がっています。

理事に入り損ねたことへの抗議か、犬猿の仲と噂されるbitFlyerなど同業者と同じ席につきたくなかったのか、自社に対しての質問をされなくなかったのか、或いは追加の行政処分が予定されているなどで表舞台に出れない事情があるのか等、憶測はやみませんが、業界を挙げて一致団結を打ち出すべきタイミングで不参加の姿勢を取ったテックビューロに、非難の声が集中しても仕方がなさそうです。

jp.techcrunch.com

 

【2】経済制裁で通貨暴落中のイラン、仮想通貨を全面禁止に

イラン中央銀行は、マネーロンダリングや不正送金を理由に、国内での仮想通貨取引を全面的に禁止すると発表しました。

イランの通貨リヤルが、米国が経済制裁を継続するか決定する5月12日に向けて暴落する中、これ以上の通貨下落を防ぐため、銀行以外での通貨取引を禁止したとの報道もあり、今回の仮想通貨規制もこの流れと関連がありそうです。

www.nikkei.com

 

同じく米国から経済制裁を受けているベネズエラは、埋蔵原油を裏付け資産とした仮想通貨「ペトロ」(1ペトロ=原油1バレル)を政府が発行し、米国を含む127ヶ国の投資家から30億ドルを調達したと外貨を調達したと発表していますが、イランもまた政府が仮想通貨の発行を検討しているとの観測が流れています。

リアルマネーでの経済制裁を受けている国が、仮想通貨の発行で打開策を探るという流れは今後も続きそうで、そういった活用方法がG20などでの国際的な仮想通貨規制の推進を後押しする可能性がありそうです。

 

本日、こちらからは以上です。

 

仮想通貨事業は分業体制が妥当か|イーサリアムの証券認定を狙う米SEC

本日2018年4月23日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、958,000円前後(時価総額:約16.28兆円)です。

先週金曜日の価格より7万円ほど高い水準です。
週末の間も上昇の勢いは継続し、日本時間4月21日午後4時台には一時9,000ドルを超える場面もありました。
円建て価格も一時97万円台を付け、3月14日以来となる100万円台が見えてきました。
日米の確定申告期間が過ぎ、換金のための売り圧力が減ったことも一因と見られています。

本日の記事では、コインチェックを買収したマネックス松本社長のインタビュー記事や、時価総額2位のイーサリアムを証券として認定することを狙う米証券取引委員会(SEC)の動きなどを取り上げたいと思います。

 

【1】1社が全ての事業を担うのではなく、役割ごとの分業が今後のあるべき姿か

コインチェック買収により事業参入を果たしたマネックスの松本社長が、ロイターのインタビュー取材に応えました。

業界再編について問われると、コメントする立場にはないとしながらも、業者と行政サイドのコミュニケーションが上手く取れていないように見えると指摘しており、bitFlyerなど一部企業を除くと、金融出身者以外の人員が主導している業界事情が問題の根幹にあることを匂わせつつ、自社が入ることで解決していける可能性があるとしています。

また現状は、交換業者が顧客資産をそのまま預かっているものの、証券会社は証券保管振替機構や信託銀行が顧客の株券・現金を管理していることから、資産管理を別組織に委ねる事業形態のベンチャー企業も出てくるのではと予想しています。

jp.reuters.com

 

これまでの仮想通貨交換業者は、取引所、ブローカー、資産管理のほか、自己トレーディング、決済サービスなど、多種多様な事業を一つの企業の中で行なっていましたが、事業効率は良い反面、コインチェック事件のように何かあったトラブルが発生した場合、全ての事業・利用者が巻き込まれるリスクが高く、社内で完結してしまうが故に不正も起きやすくなります。

証券など先行する金融サービスが、それぞれの法律に基づいて明確に役割を分けた分業体制となっているように、仮想通貨業界もまたコンプライアンス重視の金融庁管轄になった以上、カテゴリーごとの法律に合わせた分業体制に移行していくのが自然なのかもしれません。

 

【2】米証券取引委員会、仮想通貨2位のイーサリアムを「証券」としたい考え

米証券取引委員会(SEC)が、ビットコインに次ぐ時価総額の仮想通貨イーサリアムを証券として扱うかどうかの検討を進めている模様で、仮に証券として認定された場合は、SEC管轄下で各種規制を受けることが確実視されることから、ベンチャーキャピタルなどが強く反発してロビー活動に走っているようです。

SECは証券としての性質を持つ仮想通貨やトークンを既存の証券法に当てはめたい考えで、SEC長官は以前から、ICOによって発行されたものは証券として登録されるべきとの見解を示していました。

ビットコインは全てマイニングにより新規発行され、ICOでは販売されていないため、SECとしても証券ではないという認識ですが、イーサリアムはマイニングで新規発行されるものの、2014年のプロジェクト開始当時は、ICO(当時はプレセールと表現)で開発資金を調達していた経緯がありました。

イーサリアムは時価総額2位(約6.7兆円)という仮想通貨であるということだけでなく、多くのICOがイーサリアムの規格を利用して行なわれているため、SECサイドにはイーサリアムを押さえれば数多くのICOトークンを巻き込めるという狙いがありそうです。

SECは3月、仮想通貨取引所はSECに登録すべきだとの見解も示しており、取引所や仮想通貨の管轄を企図したSECの攻勢が当面続きそうです。

btcnews.jp

 

本日、こちらからは以上です。

 

仮想通貨市場に蔓延る「風説の流布」|サイバーエージェントが参入断念

本日2018年4月20日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、893,000円前後(時価総額:約15.17兆円)です。

昨日の同時刻帯より1万円ほど高い水準です。
引き続きじわりと上げる展開の中、4日ぶりに90万円台を一旦付けました。

本日の記事では、仮想通貨市場に蔓延る「風説の流布」問題と、大手ネット広告業のサイバーエージェントが取引所事業参入を断念したニュースを取り上げたいと思います。

 

【1】証券市場なら即逮捕レベルの「風説の流布」が散見される仮想通貨

日本では金融庁が仮想通貨交換業者を管轄下に置いたように、先進国では証券などと同様に、金融当局の監視下に置こうとする動きが強まっています。

規制が厳しくなかった頃から続く業界独特の風習やノリについても、この流れを受けて軌道修正を迫られることになりそうで、そのうちの1つが「風説の流布」です。

投資家は自ら保有する仮想通貨の購入者を増やそうと、SNSやチャット、ブログなどでポジショントークを発信する傾向があり、それが行き過ぎて風説の流布と見做されそうなものも見受けられます。

更には、積極的にフェイクニュースを流したり、仲間内で特定の仮想通貨の値を吊り上げて他の投資家の買いを誘ってから売り逃げるという、証券取引で行なえば即逮捕されるレベルの悪質な手法も使われているようです。

CBOEやCMEのビットコイン先物を管轄する米商品先物取引委員会(CFTC)は2月、風説の流布を利用した取引についての警告を発し、強制措置の発動に結びつく情報提供者に報奨金を支払うと発表したほか、自主規制機関を創設しようとする動きも出てきています。


一方、仮想通貨取引所の取引画面には投資家同士でやり取りできるチャットが搭載されていることが多く、日本でもbitFlyer、コインチェック、Zaifなど上位企業が採用しています。
日々のチャットの会話には、ポジショントークや風説の流布レベルの書き込みも見受けられるものの、取引所は基本的に放置している状況です。

今後、日本国内でも仮想通貨マーケットにおける「風説の流布」を取り締まろうという機運が高まり、金融庁が各取引所に対して対策を求めることになれば、取引画面のチャットも監視の対象となり、結果として消えていく可能性が高そうです。

coinchoice.net

 

【2】サイバーエージェントが参入を断念、金融庁の登録審査先送りで

昨年10月に子会社を設立し、今春の取引所事業参入を予定していた大手ネット広告業のサイバーエージェントが、事業参入を断念することを明らかにしました。

同社は昨年12月、国内大手のコインチェックやビットバンクの株主である東証1部上場セレス社に出資し、ビットバンクの取引所システムを採用して取引所事業を開始する計画を発表していました。

コインチェック事件により金融庁の登録審査が事実上ストップしてしまっていることが参入断念の主因と見られます。

www.businessinsider.jp

 

昨年当時は、GMO、SBI、DMMに続いてサイバーエージェントと、IT系・金融サービス大手からの相次ぐ参入表明に、FXビジネスの再来か?とも言える状況でしたが、昨年9月登録のGMO、SBI、12月登録のDMMと比較して、サイバーエージェントは動き出しが一歩遅かったことが致命的な差となりました。

ただ、SBIは金融庁登録は果たしたものの、システムや管理体制の強化を図る必要があるとの理由から、取引所の立ち上げを何度も延期していまだにサービスを開始していないほか、システム障害が頻発していたGMOは3月に金融庁から業務改善命令を受けるなど、FX・証券ビジネスでの勝ち組も仮想通貨取引所事業では存在感を発揮できていません。

業界を取り巻く環境の変化スピード、ハッキング対策など技術面でのハードルの高さ、従来の金融ビジネスとは異なる顧客属性など、勝手が違う部分が多くあることに加え、何よりも2014年創業各社の先行メリットを崩せるほどの違いを打ち出せていない点が大きいように思います。

 

本日、こちらからは以上です。

 

本ブログはビットコインなどの情報提供を目的としますが、内容の正確性を保証するものではありません。仮想通貨の取引はご自身の判断で行なってください。