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中国人民銀行、独自デジタル通貨は完成間近?|米SEC、ビットコインETFの承認判断を再延期

本日2019年8月13日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,200,000円前後(時価総額:約21.44兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べてほぼ横ばいの水準です。
ビットコインは節目として意識されていた12,000ドルの突破に再三チャレンジしながらも、明確に上抜けすることができずに急反落すると、日本時間11日の18時頃に一時11,112ドルまで下値を拡大。ただ、夏枯れ相場で様子見ムードも強い中、その後は11,400ドル前後で方向感に乏しい動きが続いています。

本日の記事では、中国人民銀行の独自デジタル通貨を巡る報道や、米SECがビットコインETFの審査を延長させたことなどについて取り上げたいと思います。

 

【1】中国人民銀行、独自デジタル通貨は完成間近?

中国人民銀行(PBOC)の決済部門副長Mu Changchun氏は、10日に開催された「第3回China Financial 40 Yichun Forum」で、現在開発中の独自デジタル通貨について、「準備はできている」と発言し、完成間近にあることを匂わせました。

2014年からデジタル通貨やブロックチェーンに関する研究を始めていたPBOCは、今年6月にFacebookがリブラ構想を発表したことによる危機感の高まりから、独自デジタル通貨の開発を加速させてきました。

今月2日には、PBOCの2019年後半の重要業務として独自デジタル通貨開発の加速が挙げられていることが明らかとなったばかりですが、Mu Changchunの発言を額面通りに受け取れば、すでに開発は終盤に差し掛かっている可能性があります。

Mu Changchun氏によると、広い国土や人口の多さ、経済システムの複雑さに対応するため、独自デジタル通貨の流通には「二段階」の運用システムが採用されるとしています。具体的には、PBOCがまず商業銀行などにデジタル通貨を発行し、そこから市場に流通させていく流れとなるようです。

これによって、商業銀行が持つリソースの有効活用やPBOCへのリスクの一極集中の回避、既存の金融システムの混乱回避などが図れるとしています。

すでにブロックチェーンの設計を完全に応用したプロトタイプは存在しているとのことですが、リテール利用において最大の処理能力を発揮できるよう、最終的にはブロックチェーン以外の技術を利用する可能性があるとしています。

一方で、中国の金融大手「銀聯」の理事長Shaofu Jun氏は同じ会議の場で、PBOCによる独自デジタル通貨の実現は難しいかもしれないとの見解を表明。具体的な運用プロセスや、世界規模での明確な規制の欠如が大きな課題になるとしています。

PBOCは独自デジタル通貨の発行によって、現金を代替すること以外に人民元の国際化などにも繋げたい考えを示していますが、その実現のためには国際ルールの構築も並行して進めていく必要があり、思惑通りには物事が進まない可能性は高そうです。

coinpost.jp

 

【2】米SEC、ビットコインETFの承認判断を再延期

米証券取引委員会(SEC)は13日、現在申請がなされている全てのビットコインETFについて、その承認判断を今秋まで延期することを発表しました。

判断延期となったETFは、今年1月に投資運用会社VanEckと仮想通貨ファンドのBitwise Asset Managementがそれぞれ申請を出したものと、同6月に資産管理会社Wilshire Phoenixが申請した「The Trust」の計3件で、VanEck版とBitwise版のETFについては今回で3回目の延期判断となります。

次回の承認判断の期限についてSECは、VanEck版が10月13日、Bitwise版が同18日、The Trustが9月29日になるとしています。

SECはこれまで申請却下や判断延期の理由として、取引所による詐欺的行為や価格操作の懸念がある点、投資家保護が不十分である点などを挙げてきましたが、現在もこれらの状況に大きな改善は見られていません。

そのため、市場では再延期となることは確実視されていたため、特に材料視されていないようです。

SECが指摘する懸念をクリアするためには、ビットコイン先物の普及⇒機関投資家の参入本格化⇒流動性の向上、といったプロセスは最低限必要になると考えられますが、現物受け渡しのビットコイン先物として本命視されている「Bakkt」の承認もされていない現状では、ETFの承認にはまだまだ時間がかかることになりそうです。

jp.cointelegraph.com

本日、こちらからは以上です。

 

ビットコインとゴールドの相関係数、過去3ヵ月で2倍に|米下院議会に仮想通貨取引の「二重課税」対策の法案が提出

本日2019年8月8日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,266,000円前後(時価総額:約22.61兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べて約34,000円高い水準です。
ビットコインは7月末からの上昇の流れを引き継ぎ、6日に一時12,330ドルまで上値を拡大しました。ただ、12,000ドルは過去にレジサポラインとして強く意識されてきたほか、6月と7月の高値を通るダウントレンドラインもちょうどぶつかるポイントであることから、強い売りに押し戻されると、8日13時時点でも12,000ドル水準を明確に上抜けできない展開が続いています。

本日の記事では、ビットコインとゴールドの相関性が高まっているとの報道や、米下院議会に提出された仮想通貨税制に関する法案を取り上げたいと思います。

 

【1】ビットコインとゴールドの相関係数、過去3ヵ月で2倍に

今月7日のブルームバーグの報道で、ビットコインとゴールド(金)の値動きの相関係数が、過去3ヵ月で約2倍に上昇していることがわかりました。

相関係数とは、2つのデータの間にある関係の強弱を測る指標です。相関係数は1から-1の間で表され、1に近いほど「正の相関」(Aが上昇したらBも上昇する)が強く、-1に近いほど「負の相関」(Aが上昇したらBは下落する)が強いことを意味します。

ブルームバーグによると、過去1年のビットコインと金の相関係数は0.496だったものの、過去3ヵ月では0.837に上昇。また、過去1年間で見た場合、ビットコインとゴールドが同じ動きをした時間は全体の51%だったものの、過去3ヵ月では58%に増加しているといいます。

世界経済の不透明感が増す中、「有事の金」と言われるように、質への逃避の代表的な資産であるゴールドは、資金流入が加速し約6年ぶりの高値水準まで上昇していますが、データ上では“デジタルゴールド”と称されるビットコインにも同様に、リスクヘッジの資金が流入している可能性がありそうです。

jp.cointelegraph.com

ただ、ビットコインがゴールドのようにリスクヘッジ先として資金を集めているという見方には、否定的な意見も多くあります。

著名なゴールド投資家のピーター・シフ氏は6日に出演したCNBCの経済番組で、「中国人はビットコインを逃避資産として買っていない。中国人がビットコインを逃避資産として買うだろうと賭けて、投機家がビットコインを買っているだけ」とコメントしています。

また、ロンドンに拠点を持つ仮想通貨プラットフォーム「Luno(ルノ)」のマーカス・スワインポーエルCEOは、直近のビットコイン価格の上昇について、安全資産として買われているというより、ボラティリティ上昇に伴って投機的な賭けが増えたことが要因との見解を示しています。

さらに、仮想通貨メディア「ザ・ブロック」のアナリストであるラリー・サーマック氏も、高リスクで流動性のある資産は、不確実性の高い状況ではパフォーマンスが悪くなる傾向があるとし、「盲目的にビットコインに好都合と決めつけるのは危険」と指摘しています。

今回のビットコインとゴールドの相関関係が高まっているというデータは、過去3ヵ月という限られた期間のものであるため、統計的には有意なものであるとは言えないかもしれませんが、全く無視できるものでもなく、今後もゴールドを横目にビットコイン相場を見ていく必要がありそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【2】米下院議会に仮想通貨取引の「二重課税」対策の法案が提出

米下院議会に、仮想通貨取引における「二重課税」の問題解決に繋がる法案「仮想価値税修正法2019」が提出されたことがわかりました。

法案は1986年施行の米内国歳入法(IRC)の改正を目指したもので、共和党のテッド・バッド下院議員が提出。同法案では、「同種の仮想通貨同士の交換は、不動産同士の交換と同じ手法で処理されるものとする」と明記されています。

不動産の税は法律で、「貿易またはビジネスにおける生産的使用または投資のため保有されている不動産、またはそれら不動産同士の交換において、利益または損失は認識されない」と規定されているため、この法案が通過すれば、仮想通貨取引において購入者が購入・売却の両方を行ったとして課税を適用する「二重課税」の問題が解消されると見られています。

現在、仮想通貨に関する税制は世界的に未整備の状況にあり、他の金融資産などと比べて非常に不利な税制を強いられています。日本でも仮想通貨取引に対する税率が著しく高いなど、納税者にとって納得感のある税制とはなっていないうえに、申告の手間などもかかかることから、納税にネガティブな人が発生する一因になっているといえます。

アメリカで仮想通貨税制の改正が進めば、他の主要国でも同様に議論が加速する可能性があり、今後の動向が注目されます。

jp.cointelegraph.com

本日、こちらからは以上です。

 

米FRB、リアルタイム決済サービスを2024年までにリリースへ|リスクオフの中で上昇を続けるビットコイン、この上昇は本物?

本日2019年8月6日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,243,000円前後(時価総額:約22.20兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べて約20,000円高い水準です。
米中貿易摩擦が再燃し、中国の人民元が約11年ぶりとなる1ドル=7元台の安値をつける中、ビットコインは中国元からの資金流入が意識され、日本時間6日2時ごろに一時11,937ドルまで上値を拡大。7月30日から7日連続で陽線をつけています。

本日の記事では、米FRBが発表したリアルタイム決済サービス計画や、世界情勢が混迷を極める中で上昇を続けるビットコイン相場の動向を取り上げたいと思います。

 

【1】米FRB、リアルタイム決済サービスを2024年までにリリースへ

米連邦準備銀行(FRB)は5日、銀行向けに提供する年中無休・24時間体制のリアルタイム決済サービス「FedNOW」を、独自に開発すると発表しました。サービスの開始は2023年または24年を見込んでおり、現在はパブリックコメントを募集している段階としています。

www.federalreserve.gov

先月26日には、FRBのパウエル議長が米上院に宛てた書簡の中で、連銀の決済システムが他国に比べて遅れているとの認識を示したうえで、「FRBは1万以上の銀行と繋がっているため、システムを改善する責任は我々にある」とし、リアルタイム決済システムの開発を進めていきたい意向を伝えていました。

FRBが提供している既存システムは週末は稼働せず、取引の決済に数日かかることもありますが、FedNowは決済に年中無休・24時間対応できるため、消費者による請求書支払いや企業による給与支払いなどをより円滑に進められるようになると見られます。

FRBのブレイナード理事はFedNowについて、「あらゆる規模の銀行がリアルタイム決済サービスにアクセスすることを可能にし、金融システムの全体的な安全性を向上させる」と期待のコメントを寄せています。

一方で、FRBの発表を受けて仮想通貨コミュニティからは困惑の声があがっており、米デジタル資産管理会社モルガン・クリーク・デジタル創業者のアンソニー・ポンプリアーノ氏は、「ビットコインがすでにある」とツイート。

また、米資産運用会社ヴァンエック子会社MVインデックス・ソリュージョンズでデジタル資産を担当するガバー・ガーバックス氏も、FRBが技術革新に前向きなことは評価したものの、「ビットコインがもたらす恩恵について検討することを勧めたい」とし、FedNowの必要性を疑問視しています。

現時点ではシステムの詳細は不明ですが、FRBは実際に利用する技術について近いうちに決定・発表を行うとしており、今後はまずその仕様が注目されそうです。

coinpost.jp

 

【2】リスクオフの中で上昇を続けるビットコイン、この上昇は本物?

米中貿易摩擦に代表されるように、世界的に経済・社会情勢の不透明感が高まる中、金融市場ではリスクオフの動きから株安や安全通貨買いが進んでいます。

そうした中、金融市場でその存在感を高めているのがビットコインです。ビットコインは、7月28日に9,165ドルの直近安値をつけて以降、低迷する株式市場などを横目に右肩上がりを続け、8月5日には11,937ドルまで上値を伸ばし、約30%の上昇を記録。仮想通貨市場全体の時価総額に占める割合(ドミナンス)は、5日時点で67%まで上昇しています。

jp.cointelegraph.com

ビットコイン相場が堅調な背景には、“デジタルゴールド”として「質への逃避」の需要を取り込んでいることが挙げられています。中でも、人民元安が進む中、中国人がビットコインなど仮想通貨に資金を移しているとの見方が強まっています。

アメリカのトランプ大統領が1日、中国に第4弾の追加関税を課すと発表したことをきっかけに米中貿易摩擦への懸念が再燃し、中国人民元は5日に約11年ぶりとなる1ドル=7元台の元安水準をつけています。

この1ドル=7元台という水準は、中国政府にとって過度な元安を食い止めるための防衛ラインとして意識されてきたポイントですが、ビットコイン相場でも中国人投資家の資金移動が加速する心理的な節目として注目されています。

現在の世界的な流れがビットコインの追い風になるとの見方は多く、米仮想通貨投資会社ギャラクシーデジタルのマイク・ノボグラッツCEOは5日、自信のTwitterで「人民元が1ドル=7元を突破し、外国為替市場での戦争が勃発し、香港の政情が不安定になり、資本逃避が起きている。ビットコインの上昇は、本物の足を持つことになるかもしれない」と指摘しています。

jp.cointelegraph.com

また、デジタル資産調査会社デルフィ・デジタルはレポートの中で、米中貿易戦争、10月末に起こりうる英国のハードブレグジット、ドイツ経済の低迷などを背景に、「多くの中央銀行がさらなる利下げや追加緩和策に備えている」と指摘。質への逃避が進むことで、デジタルゴールドと呼ばれるビットコインにとっては「完璧な嵐になる」としています。

さらに、仮想通貨トレーダーのマックス・カイザー氏は、「中央政府、中央銀行、中央集権的なもの、法定通貨への自信は、ここ数十年間で最低」としたうえで、今週末までにビットコインが15,000ドルを付けると予想しています。

jp.cointelegraph.com

一方、ゴールドマニアでビットコイン懐疑派として知られている経済評論家のピーター・シス氏は、「中国人は安全な避難場所としてビットコインを購入していない。中国人が避難場所としてビットコインを選ぶことに賭けて、投機家が買っている」と指摘しており、ビットコインが質への逃避で買われているとの見方を疑問視しています。

いずれにせよ、6月につけた年初来高値(13,970ドル)から引いたチャネルラインが意識される中、今後はこれを突破して本格的な上昇トレンドを描けるか注目したいところです。

jp.cointelegraph.com

本日、こちらからは以上です。

 

米ウォルマート、独自ステーブルコインの発行を検討か|中国人民銀行、独自仮想通貨の開発を加速へ

本日2019年8月5日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,228,000円前後(時価総額:約21.92兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べて約78,000円高い水準です。
世界的な経済・社会情勢の不透明感や、FRBをはじめ各国中銀が再び金融緩和路線に転じ始めたことが追い風となる中、ビットコインは日本時間5日12時ごろに一時11,648ドルまで上値を拡大。ネックラインとして意識されていた11,000ドルを上抜けしたことで、上昇の勢いが加速しています。

本日の記事では、米ウォルマートや中国人民銀行の独自仮想通貨発行を巡る動きを取り上げたいと思います。

 

【1】米ウォルマート、独自ステーブルコインの発行を検討か

米小売り大手ウォルマートが今月1日に、米特許商標庁(USPTO)に独自仮想通貨の発行を検討していることを示唆する内容の特許申請を行っていたことがわかりました。

特許出願書類には、「1つのデジタル通貨ユニットを、法定通貨に紐つけて発行する」との記載があり、ウォルマートが発行を検討しているのが、Facebookの「Libra(リブラ)」と同様にステーブルコインであることがうかがえます。

また、「銀行サービスが受けられない人の財産管理の手段となることを目指す」との文言もあり、こちらも「金融包摂」を目指すリブラと重なる点となります。

一方で、「審査を通過した小売店やパートナー企業で使用可能」になるとしており、その利用範囲はグローバルな展開を見込むリブラより限定的なものとなりそうです。加えて、手数料無料で現金との交換ができ、利息も得られる仕組みとなる可能性も示唆されています。

現時点では、ウォルマートによる独自仮想通貨の発行は憶測に過ぎませんが、同社はこれまでに少なくとも50以上のブロックチェーン関連の特許を申請しているなど、米国内でもこの分野に最も熱心な大手企業のひとつであり、実際に計画を進める現実味は高そうです。

今後、ウォルマートが独自仮想通貨の発行を正式に決定しても、リブラ同様に米当局や議員から批判を受け、思うように計画が前に進まない可能性は少なからずあります。

実際、厳しい批判を受けているFacebookは、規制などへの対応によって開発が遅れたりコストが膨らむ懸念があることから、リブラの発行が頓挫する可能性があるとの見解を示しています。

しかし、リブラよりも利用範囲が限られると見られるほか、保守派の心証もウォルマートの方がFacebookより断然良いことから、実現への道はより近いのかもしれません。

jp.cointelegraph.com

 

【2】中国人民銀行、独自仮想通貨の開発を加速へ

中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は2日、中国共産党などが参加したビデオカンファレンスの内容を公表し、2019年後半の重要業務として、独自仮想通貨の発行に向けて開発の動きを加速させる方針であることがわかりました。

中国では2014年からデジタル通貨に関する研究が開始されているものの、主にリサーチにとどまり、実際の開発にはこれまで動いてきませんでした。

しかし、Facebookがリブラ構想を発表したことで、中国の金融システムがリスクにさらされるとの懸念が急速に高まったことから路線転換に迫られ、先月8日には中国人民銀行が独自仮想通貨の開発を決めたことが伝わっています。

jp.cointelegraph.com

これまで中国では、政府によって仮想通貨の取引等が禁止されているため、仮想通貨について公に言及されることはほとんどありませんでした。

しかし、今回の発表に加え、先月26日には国営の中国銀行がビットコインに関する教育的なインフォグラフィックを公開するなど、中国政府の仮想通貨へのスタンスは着実に変化してきていると言え、今後、国内の仮想通貨規制が緩和されるのか注目したいところです。

coinpost.jp

本日、こちらからは以上です。

 

レジャーXが現物受け渡しのビットコイン先物を立ち上げ、米国初|仮想通貨規制に関する米上院公聴会が開催、金融包摂を疑問視|Facebook、「リブラ」が延期・中止となる可能性を示唆

本日2019年8月1日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,026,000円前後(時価総額:約19.45兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べて約40,000円高い水準です。
テザー裁判やアメリカの仮想通貨規制に関する公聴会、利下げが予想されていたFOMCなど、月末に集中していた重要イベントを無難に通過し、買い安心感が広がる中、ビットコインは一時10,155ドルまで上昇しています。

本日の記事では、レジャーXによる米国初の現物受け渡しビットコイン先物の立ち上げや、仮想通貨規制に関する米上院公聴会、FacebookがLibraの延期・中止の可能性を示唆したことについて取り上げたいと思います。

 

【1】レジャーXが現物受け渡しのビットコイン先物を立ち上げ、米国初

仮想通貨デリバティブ商品を提供するLedgerX(レジャーX)は先月31日、米国初となる現物受け渡しによるビットコイン先物の提供を開始したことを発表しました。

レジャーXは先月25日に、CFTC(米商品先物取引委員会)からDCMライセンスが許可され、ビットコインを対象とする先物を提供できる状況となっていました。

レジャーXによると、同先物サービスは自社のOMNI(オムニ)プラットフォームで提供され、米国内の機関投資家だけでなく、個人投資家も投資することができるとしています。

投資家は証拠金としてドルの代わりにビットコインを365日24時間デポジットすることができ、SQ決済時にショート側はビットコイン現物を受け渡し、ロング側はビットコイン現物で受け取ることが可能となります。

米シカゴ先物市場(CME)が提供している現金決済のビットコイン先物と異なり、現物決済が可能な先物が誕生することで、流動性がより高まると期待されており、その先にあるビットコインETF(上場投資信託)の誕生にも一歩近づく可能性がありそうです。

coinpost.jp

ただ、現物受け渡しによるビットコイン先物の本命とされているのは、ニューヨーク証券取引所の親会社インターコンチネンタル取引所が手掛けるBakkt(バックト)です。

米仮想通貨メディアのThe Block(ザ・ブロック)によると、レジャーXの先物はマージン取引ができないものの、バックトは信託会社としてライセンス取得を目指していることからマージン取引が可能になる見込みで、より機関投資家に好まれるとしています。

現在、バックトはニューヨーク州のカストディライセンスの許可を待っている段階で、今年第3四半期にも立ち上げが行われる見通しとなっています。先月22日にはユーザー受け入れのテストも実施されるなど、着実に立ち上げに近づいており、市場はその時を待ちわびています。

jp.cointelegraph.com

 

【2】仮想通貨規制に関する米上院公聴会が開催、金融包摂を疑問視

米上院銀行委員会は先月31日、仮想通貨とブロックチェーンの規制に関する公聴会を開催しました。

公聴会には有識者として仮想通貨決済企業サークルのジェレミー・アレールCEOや、議会調査局のレベッカ・ネルソン氏、カルフォルニア大学アーバイン校のメーサ・バラダラン教授が出席しました。

公聴会では、仮想通貨肯定派から「アメリカはこの領域の先頭に立つべき」「政府がビットコインなどの仮想通貨を禁止しようとしても、成功しない。仮想通貨はグローバルテクノロジー、グローバルイノベーションだ」などとの声が挙がりました。

一方、否定派は2008年の金融危機を引き合いに出し、「ほとんど規制されていないサブプライムローンを、イノベーションの名目で経験の浅い投資家に売っていた。仮想通貨市場も警戒せざるを得ない」と指摘。

また、仮想通貨業界が掲げている「金融包摂」については、ブロックチェーンのポテンシャルを認めつつも、「仮想通貨が低所得者コミュニティの銀行としての役割を果たせると思わない」としたうえで、技術よりも法的なプロセスが確立していないことが最大の問題との認識を示しました。

低所得者のアンバンク問題については、バラダラン教授も「(農村部など)そもそもそれらの地域に銀行がないことが根本的な問題」と指摘。こうした問題を解決する機関としてすでに連邦準備制度が存在しており、仮想通貨がその役割を担うべきではないとの見解を示し、技術ではなく、国の政策で解決すべき問題と結論付けました。

なお、金融包摂は世界銀行によって「全ての人々が、経済活動のチャンスを捉えるため、また経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、またそれを利用できる状況」と定義されています。

今回の公聴会は、仮想通貨規制の強化に向けて情報・意見を収集するために開かれたこともあり、肯定派・否定派双方が考えを出し合うだけにとどまった印象で、具体的な規制の方向性のヒントになるような内容とはなりませんでしたが、引き続き規制を巡る報道にはアンテナを張っておきたいところです。

coinpost.jp

 

【3】Facebook、「リブラ」が延期・中止となる可能性を示唆

Facebook(フェイスブック)が先月24日に発表した2019年第2四半期決算報告の中で、2020年前半のサービス開始を予定している仮想通貨「Libra(リブラ)」について、発行が延期される可能性、さらには発行自体が中止となる可能性に言及していることが分かりました。

リブラに対しては6月にその構想が発表されて以降、アメリカの議会や規制当局にとどまらず、世界各国から様々な批判や懸念の声があがっており、フェイスブック側は「全ての懸念に対処し、各国の規制に準拠した上で仮想通貨を発行する」として前向きな姿勢を示してきました。

しかし、決算報告では世界的に仮想通貨やブロックチェーンに関する法律や規制が明確ではないことから、「(不明確な)法律や規制に対応することによって、サービス開発が遅れたり、コストが膨らんだり、多大な管理時間が必要になったりする可能性がある」と指摘。

そのうえで「リブラが予定通り立ち上げられる保証はない。あるいは全く立ち上げることができないかもしれない」として、ややトーンダウンしています。

リブラは今後、各国の規制当局などによる厳しい監視を受けながら、サービスを準備していく必要がありますが、国際的な仮想通貨規制の枠組みができていない現状では、フェイスブックが指摘している通り、サービス開始にはとても長い時間がかかる可能性が高そうです。

coinpost.jp

本日、こちらからは以上です。

 

NY州司法当局 VS Bitfinex裁判、決着は90日後に持ち越し|米内国歳入庁、仮想通貨保有者1万人以上に納税促す警告書を送付

本日2019年7月30日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,026,000円前後(時価総額:約18.31兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べてほぼ横ばいの水準です。
特段の新規材料もない中、ビットコインは9,500ドル前後の狭いレンジ内で膠着状態が続いています。

本日の記事では、NY州司法当局とBitfinexらの裁判の動向や、米内国歳入庁が仮想通貨保有者に送付した納税促す警告書について取り上げたいと思います。

 

【1】NY州司法当局 VS Bitfinex裁判、決着は90日後に持ち越し

今月29日、ニューヨーク州検事長事務局(NYAG)が、香港に拠点を置く大手仮想通貨取引所「Bitfinex」と、その運営会社でステーブルコイン「Tether(テザー)」の発行母体でもある「iFinex」に対して起こした裁判が行われました。

しかし、今回の聴取では結論に至らず、NYAGに対して約90日間の調査期間の延長を認める判断にとどまっています。

この争いの発端は、今年4月にBitfinexが8億5,000万ドル(約920億円)の損失を補填するため、親会社iFinexが発行するテザーの裏付け資金から7億ドル相当の借り入れを行い、不正に転用したとして、NY州における営業の停止を求めたことに遡ります。

その際には、証拠不十分として、裁判中に課されていたテザー準備金の移動を禁止する措置なども解除されています。

その後、BitfinexはNY州で営業をしていないため、NY州の司法当局には自分たちを調査する権限がないと主張し、告訴の取り消しを求めましたが、NYAGはBitfinexとテザーが2015年からNY住民にサービスを提供をしていたとして、最高裁にその管轄権を主張する摘要書(Memorandum of Law)や証拠品を提出し、現在に至っています。

coinpost.jp

Bitfinexやテザーを巡っては、これまでも様々な疑いの目が向けられてきました。
その際たるものが、テザーの不正発行とビットコインの価格操作疑惑です。

ステーブルコインであるテザーはもともと、米ドルに100%裏付けされたコインであり、米ドルと1対1で連動すると宣伝して資金を集めてきました。しかし、市場ではテザー発行の根拠となるはずの米ドルが実際に存在しないまま、不正に大量発行されているのではないかという声が多く上がっていました。

この件に関しては今年5月、NY州の司法当局との裁判の過程で、実際にはテザーの74%しか米ドルで裏付けされておらず、実質的に無担保でテザーを発行していることが明らかとなっています。

jp.cointelegraph.com

また、こちらはまだ真相は定かではありませんが、Bitfinexが無担保状態で大量発行されたテザー使ってビットコインの価格を操作する、いわゆる「テザー砲」の存在も指摘されています。

これはテザーの発行とビットコイン価格の関係性の高さからきている疑惑で、大量のテザーが発行されると、少し時間を空けてビットコイン大きく価格し始めるといったことがたびたび確認されています。

テキサス大学のジョン・グリフィン教授らも2018年6月に発表した論文の中で、17年のビットコインバブルの少なくとも半分はテザーによる価格操作が要因だと結論付けています。

hbol.jp

テザー砲と疑われる短期間での大量発行とビットコイン価格の不自然な急騰は現在もたびたび起こっていますが、もし疑惑が事実だとすれば現在のビットコイン価格は無担保のテザーによって本来はないはずの価値が上乗せされていることになります。

裁判中ということもあり、直近では露骨な大量発行は控えられている印象は受けますが、今後の裁判の流れ次第では再びテザー砲が頻発する可能性もあるため、市場への影響力の大きいBitfinexやテザーの動向には、引き続き注意を払いたいところです。

 

【2】米内国歳入庁、仮想通貨保有者1万人以上に納税促す警告書を送付

米内国歳入庁(IRS)は26日、税金を納めていない可能性がある仮想通貨保有者を対象に、納税を促す「警告書」を送付していること発表しました。

書簡の送付は発表の1週間前から開始され、8月末までには納税が必要となる可能性がある1万人以上の仮想通貨保有者への送付が完了する見通しだといいます。送付予定の仮想通貨保有者の情報は、「様々なコンプライアンスの取り組み」を通じて入手したとしています。

書簡の内容についてIRSのレティグ長官は、仮想通貨を保有し利益を得た場合の納税義務や納税方法を説明する教育的な内容であるとしていますが、「納税者は書簡を極めて深刻に受け止め、納税申告を見直して必要な場合には過去の申告を修正し、税金と利息そして罰金を支払うべき」とも述べているように、実質的には脱税している可能性がある保有者への「警告書」と言えます。

www.coindeskjapan.com

IRSは今年5月、仮想通貨に関する新しいガイダンスの作成のため、本格的な調査や問題の明確化などに取り組み始めていることを報告しているなど、脱税を許さない姿勢を強めてきています。

今月9日にはIRSがアップル、グーグル、マイクロソフトなどのテクノロジー企業に対し、大陪審発布の召喚状を使用し、仮想通貨保有者による関連アプリのダウンロード履歴などを提出させることを検討していることが明らかとなっています。

jp.cointelegraph.com

仮想通貨の取引や送金は個人情報と繋がっていない場合が多く、きちんとした課税対策もないため、現状では個人の申告に頼っている状況であり、各国政府には仮想通貨が脱税の温床になっているとの懸念があります。

適切な課税制度の構築は、仮想通貨が文字通り「通貨」として普及していくことを目指すうえでは必要不可欠なものであり、アメリカだけでなく、日本も含めた国際社会全体で速やかに議論を進めて欲しいものです。

本日、こちらからは以上です。

 

中国銀行、ビットコインの歴史や価格上昇要因の解説記事を公開|「Libra」はMIT研究員の論文のコピー?|米大手スーパー、ビットコインキャッシュバックを導入

本日2019年7月29日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は1,045,000円前後(時価総額:約18.64兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べてほぼ横ばいの水準です。
週末も軟調地合いが続いたビットコインは、日本時間29日7時半頃に一時9,165ドルまで下値を拡大。ただ、その直後に急反発に転じると、同10時半頃に一時9,729ドルまで上昇するなど、薄商いの中で上下に振れやすい展開となっています。

本日の記事では、中国国営銀行が公開したビットコインに関する解説記事や、Libraの論文コピー疑惑、米大手スーパーによるビットコイン還元システムの導入について取り上げたいと思います。

 

【1】中国銀行、ビットコインの歴史や価格上昇要因の解説記事を公開

中国国営である中国銀行の100%子会社で、投資銀行業務などを行っている中銀国際が26日、自身のWebサイト上でビットコインの歴史や価格上昇の要因などについて解説したインフォグラフィックを公開し、大きな話題を呼んでいます。

記事内では、この他にも投機リスクやセキュリティ問題、グローバルな送金ツールとしての快適な使用法などについて解説されており、全体的にビットコインに対してポジティブな内容となっています。

その一方で、記事の最後で触れられたFacebookが発行を計画している「Libra(リブラ)」については、「既存の越境支払いシステムを脅かす」として懸念が示されています。

nextmoney.jp

中国では政府の方針として仮想通貨の取引やマイニング、ICOなどが相次いで禁止され、表向きは中国国内の人々は仮想通貨に関与できないことになっています。しかし、実際には取引所を介さないOTC(店頭)取引が盛んに行われていたり、影でマイニングが引き続き行われていたりと、今もなお中国の仮想通貨市場に対する影響力は大きなものがあります。

規制強化によってOTC取引が拡大したことで、政府が資金の動きを追い切れないという悪循環に陥っている面もある中、市場ではここ最近の中国国内における仮想通貨を巡る動きを受けて、政府のスタンスが変わりつつあるのではないかとの期待感も芽生え始めています。

今月18日には、中国・杭州の裁判所で行われたビットコインの横領事件をめぐる裁判で、ビットコインを「仮想財産(Virtual Property)」として合法的な資産であると認める国内初の判断が下されたことも話題となりました。

政府の規制が緩和され、投資意欲の旺盛な中国マネーが再び仮想通貨市場に本格的に流入してくることになれば、ビットコイン価格にも非常にポジティブな要因となりそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【2】「Libra」はMIT研究員の論文のコピー?

仮想通貨関連メディアのコインデスクは26日、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究機関「コネクション・サイエンス」の研究員で、ニューヨーク大学(NYU)の非常勤教授を務めるアレクサンダー・リプトン氏が、Facebookの仮想通貨「Libra(リブラ)」について、自身が共著した論文のコンセプトをコピーしたものと主張していることを明らかにしました。

2018年にリプトン氏は、MITコネクション科学・人間工学研究所所長のサンディー・ペントランド氏やMITのテクニカルディレクターであるトーマス・ハードジョノ博士との共著論文「Digital trade coin: towards a more stable digital currency(デジタル・トレード・コイン:より安定したデジタル通貨に向けて)」を発表しています。

同氏はリブラのホワイトペーパーにある構想は、この論文から「盗まれたもの」と指摘した上で、ホワイトペーパー内で共著論文について全く言及されていないことに腹を立てているといいます。

ただ、コインデスクはリブラの構想は共著論文と同じ可能性はあるものの、詳細については違っている部分もあると指摘しています。

例えば、リプトン氏らが論文で提唱している「デジタル・トレード・コイン(DTC)」は、石油や金、卑金属、農産物など、伝統的な商品によって裏付けられるとされていますが、リブラは米ドル、日本円などの法定通貨や国債が裏付け資産になるとしています。

また、リブラでは多数の企業が参加する「リブラ協会」が運営体となり、サービスを展開していく予定となっていますが、論文では原材料生産者や超国家組織、あるいは2~3の大規模決済事業者が想定されており、リプトン氏自身もその点について論文との違いを認めています。

現時点でリブラがこの論文のコピーである可能性はあまり高くないようにも感じますが、分散型台帳技術(DLT)プロジェクト「Hedera Hashgraph(ヘデラ・ハッシュグラフ)」にコンセプトが似ているとの指摘もあるなど、国際的にリブラを敵視する傾向が強まっている中、この手の話は今後も度々登場してくることになりそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【3】米大手スーパー「Safeway」、ビットコイン還元のキャッシュバックを導入

ビットコイン報酬アプリを開発する「Lolli(ロリー)」は25日、米大手スーパーマーケット「Safeway(セーフウェイ)」と提携し、ビットコインで還元されるキャッシュバック・システムを提供することを発表しました。

ロリ―によると、アメリカでビットコイン報酬システムを開発する企業が、大手スーパーマーケットと提携するのは初だといいます。

この提携により、ロリ―のユーザーがセーフウェイ運営のオンラインショップ「Safeway.com」で購入を行うと、全ての商品を対象に購入額の3.5%分がビットコインでキャッシュバックされるようになります。

jp.cointelegraph.com

ロリ―のCEO兼共同創設者であるアレックス・アデルマン氏は、Yahoo Financeとのインタビューの中で、アメリカ人が少なくとも週に一度は食料品を購入していることに触れた上で、「なぜ頻繁な買い物からビットコインを得られないのか?」と指摘。セーフウェイとの提携は、ユーザーがビットコインを稼ぐ新たな選択肢となり、多くの人々が初めてビットコインを所有するきっかけになると期待を寄せています。

また、同氏は「(法定通貨を裏付けとした)ポイントはデフレだが、ビットコインはデフレにならない。恣意的なポイントシステムより、良い価値保存手段となる」とし、長期保有者にメリットのあるシステムであると強調しています。

ただ、3.5%という還元率は非常に魅力的ではあるものの、ロリ―のユーザーでない人にとってはまずロリ―のサービスに登録するというアクションが必要となるため、これまでビットコインを所有したことがないような層を取り込めるかは疑問が残ります。

blog.lolli.com

本日、こちらからは以上です。

 

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