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分かりやすさ重視で、技術的な説明は極力省きます。噛み砕きすぎて一部不正確だったり、解説に主観が交じったりもしますが、分かりやすさ重視のためとご理解ください。

コインチェック、2/13から出金再開か|金融庁検査がZaifとGMOコインに

本日2018年2月9日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、871,000円前後(時価総額:約14.68兆円)です。

昨日の同時刻帯とほぼ変わらない水準です。
目先の底打ち感から日本時間2月8日午後9時台に94万円台(8,600ドル台)まで反発した後、少し値を下げて8,000ドル近辺での攻防となっています。

本日の記事では、コインチェック社の出金再開見通し報道や、テックビューロ社とGMOコイン社に金融庁が立ち入り検査に入ったことなど、国内大手取引所と金融庁に関する最新の動きを取り上げたいと思います。

 

【1】コインチェック社、2月13日に日本円出金を再開か

NHKは9日、コインチェック社がシステムの安全性が確保できたとして日本円の出金を2月13日(火)にも再開する方針を固めたと報じました。

同社はネム流出事故を起こした1月26日以降、ビットコイン以外の取引と日本円を含む全ての出金を停止しており、ネムを保有してない層も含めた100万人規模の利用者からクレームが殺到していました。

2月2日から立ち入り検査に入っている金融庁は、出金凍結などは同社の独自判断としており、日本円の出金に何故、技術的な安全性を確認・検証する必要があるのか等、同社の説明に納得できない利用者からの不満と疑惑が燻る中、取り付け騒ぎを恐れた説や、自己資産と顧客資産の分別管理がいい加減で資産流用を疑う声、他にも隠している被害がある等の意見、データベース上の不整合が生じているという見方など、様々な憶測が飛び交っていました。

今のところ金融庁の立ち入り検査中ということもあって、コインチェック社から正式な発表は出ておらず、またアルトコインの取引制限解除やネム保有者への補填についても見通しが立っていない状況ですが、NHKの報道が正しければ、業務改善命令での書面提出期限となる2月13日に、事件後の顧客対応がようやく次の段階に進みそうです。

なお、日本円の出金だけが解除された場合、アルトコイン保有者は動けませんが、同社のビットコイン保有者はポジションを決済して出金することが可能となるため、その状態が長引きそうであれば、ビットコイン相場に一定の売り圧力が掛かりそうです。

www3.nhk.or.jp

 

【2】テックビューロ社とGMOコイン社に、金融庁が本日から立ち入り検査

金融庁がコインチェック社以外にも複数の取引所に立ち入り検査を実施すると昨日報道されていましたが、その対象が大手取引所Zaifを運営するテックビューロ社とGMOグループのGMOコイン社であることが判明しました。

金融庁は8日から検査に着手し、週明け以降は検査官が常駐して本格的に調査を開始するとのことで、結果次第で何らかの行政処分が課される可能性が高く影響が心配されます。

mainichi.jp

 

テックビューロ社が運営するZaifは、bitFlyer、コインチェックの2強に次ぐ規模を誇る大手取引所で、流出事故を起こしたネム(XEM)の取扱量は世界最大となっています。
独自のトークンを数多く上場している他、COMSAのICOでは国内最大規模の100億円超を資金調達するなど、チャレンジングな社風で知られています。

一方、取引所のシステムはピーク時に接続できなくなるなどの障害が多く、2018年1月には被害件数は少ないものの、ハッキングを受けて不正な取引・出金が行なわれる事故も報告されており、システム管理体制への不安が指摘されていました。

corp.zaif.jp

 

またGMOコインは、顧客同士の取引をマッチングさせる方式ではなく、FXと同様に会社が取引の相手方となる相対取引方式を採用しています。
FXビジネスで培ったノウハウの転用を目指したもので、他にも後発のDMMビットコインなどが採用しています。
ただ、巨大なインターバンク市場と接続してレート取得やカバー取引を安定的に行なえるFX取引とは異なり、市場環境が未成熟な仮想通貨マーケットでは同業の取引所同士でレート取得やカバー取引を行なう他なく、相場急変時にはレートが正常に取得できずに異常なレートで約定させたり、カバー取引が行なえない事態がしばしば起きています。

GMOコインでも昨年12月、bitFlyerがシステム障害を起こして同社からレートを取得できなくなったことで異常なレートを顧客に一定時間提供し続け、相当額の損失を被った事故がありました。
FXと全く同じ考え方では仮想通貨取引所の運営は難しいようで、12月の事故後にGMOクリック証券出身の社長が突然退任する結果となりました。

news.coin.z.com

 

システム管理体制の面で目をつけられやすかった両社を、金融庁が今回の立ち入り検査対象に選んだことには違和感がないものの、今後金融庁は全ての取引所に対して立ち入り検査に入ることを示唆しているだけに、業界内部からそのきっかけを生み出したコインチェック社に対する恨み節が聞こえてきそうです。

立入り検査の結果、業務改善命令レベルで済めば良いですが、もし大手取引所に対して業務停止命令など厳しい処分が下される事態となれば、更なるイメージ悪化と相場への悪影響、及び今後の規制強化が懸念されます。

 

本日、こちらからは以上です。

 

金融庁の検査が他の取引所にも波及|CFTC、テザー疑惑に発言なし

本日2018年2月8日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、874,000円前後(時価総額:約14.73兆円)です。

昨日の同時刻帯より6万円ほど高い水準です。
日本時間2月6日午後に6,000ドル水準(64万円台)で反発したビットコインは、上昇と共に底打ち感・楽観論が浮上して7日午後10時台には92万円台まで回復しました。

本日の記事では、コインチェック以外の複数の取引所にも立ち入り検査を実施する方針を明らかにした金融庁の動きと、米上院で今週開催された公聴会でSECが「全てのICOは証券に該当」と発言したことや、CFTCがテザー疑惑について調査報告をしなかったことなどを取り上げたいと思います。

 

【1】金融庁、コインチェック以外の取引所にも立ち入り検査へ

金融庁はコインチェック事件を受け、同社以外の複数の取引所に対しても週内に立ち入り検査を実施する方針を明らかにしました。

2月2日に金融庁はコインチェック社に立ち入り検査に入ると共に、取引所を運営する他の登録業者、及びみなし登録業者の計31社に対しても、社内管理体制や財務内容などについての説明を求める報告徴求命令を出していました。

報告徴求命令の回答期限は当日中という厳しいもので、報告内容に問題があると判断された数社に対し、週内に立ち入り検査を実施して実態を確認し、必要な改善を求めるものとみられています。

気になるのは、立ち入り検査対象の取引所がどこかです。
31社のうち、もともと人員面、資金面に限りがあり、金融庁登録審査通過も難しいとみられるような規模の取引所であれば、影響は限定されますが。預かり資産や顧客数、売買高の規模で、bitFlyerとコインチェックの2強に次ぐ、他の老舗大手数社、大企業・上場企業グループ数社などが検査対象に含まれるようであれば、その後の業務改善命令や業務停止命令が想像されるだけに、市場に動揺が広がりそうです。

headlines.yahoo.co.jp

 

 

【2】米SECがICOは全て証券に該当との見解、テザー問題は言及なし

今週6日に米上院で開催された仮想通貨についての公聴会において、米SECのジェイ・クレイトン委員長は全てのICOは証券に該当するの見解を示し、今後証券と同様に規制していく方針を明らかにしました。

昨年半ばには日本国内でも空前のICOブームが起き、様々な企業・発行体から様々なトークンが発行・販売されたものの、実現可能性が低い詐欺的なICOも数多く見られたことは記憶に新しいところです。
金融庁も10月にICOについての注意喚起文章を出す事態となりました。

米SECが今後、ICO実施企業・トークン発行体に対して、証券業ライセンスや情報開示、投資家保護などについてのルール順守を求めていくことになれば、ICOで資金調達を検討する企業は激減しそうです。
また、1,000以上存在する仮想通貨も最初はICOで開発資金を募るケースが多く、資金調達のハードルの低さもあって乱造されてきましたが、SECの見解を受けて、新規通貨の増加ペースもダウンしそうです。

なお、仮想通貨テザー(USDT)を発行するTether社と、関連会社である香港大手取引所Bitfinexが、米ドルなどの資産の裏付けがないままテザーを発行しているという疑惑に関連して、米CFTCが昨年12月に召喚命令を出していたため、今回の公聴会で調査結果が発表されるのではとみられていましたが、CFTCから特に新しい情報は出ませんでした。

懸念されていた悪材料が出なかったことが楽観論につながり、相場の反発要因の一つとなったとも言えそうです。

btcnews.jp

 

本日、こちらからは以上です。

 

採掘コスト基準なら6,000ドルが下限?|仮想通貨の信託・保険サービス

本日2018年2月7日(水)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、810,000円前後(時価総額:約13.65兆円)です。

昨日の同時刻帯より11万円ほど高い水準です。
下がり続ける相場展開が続いていましたが、日本時間2月6日午後に6,000ドル割れに何度かチャレンジしたものの達成できず、そこから反発を開始しました、

本日の記事では、ビットコインの暴落によりマイニング業者の採算が厳しくなってきているという報道や、コインチェック事件を受けて注目度が高まった仮想通貨の信託・保険サービスについて取り上げたいと思います。

 

【1】ビットコインが6,000ドルだとマイニング業者が採算割れか

ブルームバーグは2月7日、ビットコインの暴落により大半のマイニング業者が利益が出ない状況に陥っていると報じました。

中国に多いビットコインなどの採掘を行なう専門業者(マイニング業者)は、大量の電力を使用して何万何千台ものマイニング機器を24時間フル稼働させています。業者同士の競争が激しく、採掘難易度(求められる計算処理能力)は上昇の一途を辿っており、電力使用料金も増え続けています。

ビットコイン採掘難易度グラフ

記事の中ではビットコインの価格が6,000ドルの場合、利益を出せるのは1kWhあたり6セント以下の電気料金で機器を動かせるマイニング業者のみであると指摘しており、日本の1/3程度とされる中国でも、地域差はあれど平均すれば1kWhあたり8円(7セント)前後と言われていることから、収支が厳しくなってきているのは間違いなさそうです。

ここまで下落してきた相場が昨日、その6,000ドルで反発したのは採掘コスト(生産コスト)からみた下限が意識された可能性もありそうです。

www.bloomberg.co.jp

 

【2】三菱UFJ信託銀行の仮想通貨信託サービス、4月開始予定

多額のネム(XEM)が奪われたコインチェック事件を受けて、仮想通貨取引所の資産管理体制の一層の強化が求められる中、顧客資産を守るための「信託」「保険」への注目度が高まっています。

日経新聞は7日付朝刊で、三菱UFJ信託銀行が仮想通貨を信託財産として預かるサービスを4月に開始する見込みであることを報じました。
円資産の信託は一部の仮想通貨取引所が既に取り入れているものの、仮想通貨の信託は受け入れる信託銀行側の技術的なハードルやリスクの高さもあって、サービスとして実現していませんでした。

三菱UFJ信託銀行は、取引所に預け入れられた投資家の仮想通貨を自行のウォレットで管理する仕組みを構築し、万一取引所がハッキングされたり破綻したとしても、利用者の資産は守られる仕組みを提供するようです。

取引所が信託銀行に支払う信託報酬は円資産の信託の数倍になる可能性がある点と、取引所と信託銀行間での仮想通貨の出し入れに時間が掛かることから、投資家から見ればこれまでと比べて出金実行に時間を要するようになる点がデメリットですが、皮肉にもコインチェック事件で資産保全の重要性が幅広く認知されたことから、三菱UFJ信託銀行のサービスに興味を示す取引所は多そうです。

www.nikkei.com

 

また、仮想通貨の盗難をカバーする保険については、既に一部実現しており、今回事件を起こしたコインチェックは、東京海上日動火災保険のサービスに加入しています。
ただその補償は利用者が不正ログインされたケースに限られ、補償額も最大100万円までとなり、今回のような取引所自体がハッキングされたケースは対象外となっています。

保険会社もこの分野に興味を示しているものの、取引所資産全体をカバーするとなれば保険料も巨額となることや、保険引受や保険料算出のための社内管理体制のチェックや審査に相当の時間が掛かること、それらを鑑みて顧客となり得る取引所の数が多くないことで、もう一歩進んでいないように見受けられます。

jp.reuters.com

 

コインチェック事件の原因究明が進む中、同社のずさんな管理体制が徐々に明らかになってきているため、こういった信託・保険などの外部サービス利用を通じて、各取引所が社内管理体制の整備や万一の際の資産保全体制を確立していくことは、仮想通貨業界の健全な発展に繋がる重要なステップと言えそうです。

www.yomiuri.co.jp

 

本日、こちらからは以上です。

 

コインチェック事件は北朝鮮の犯行?|拘束中に暴落 アルトコインの悲劇

本日2018年2月6日(火)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、696,000円前後(時価総額:約11.73兆円)です。

昨日の同時刻帯より19万円ほど安い水準です。
下げ止まる気配がなく、ほぼ全ての仮想通貨が前日比マイナス20%を超える大幅下落となっています。
国内最大手bitFlyerではFX価格が現物を下回る逆転現象が生じており、先行き不安と売り仕掛けで、売られ続ける展開が続いています。

本日の記事では、コインチェック事件は北朝鮮のハッキングによるものと推定する韓国情報機関の見方や、コインチェック社にポジションを拘束されたまま価格が暴落したアルトコイン保有者の悲劇と相場への影響を取り上げたいと思います。

 

【1】コインチェック事件、北朝鮮のハッキング説が浮上

韓国の情報機関が5日、国会情報委員会においてコインチェック社のネム流出事故は北朝鮮のハッキングが原因と推定されるという見方を示しました。

韓国の仮想通貨取引所は、これまでに数十億円規模の仮想通貨を北朝鮮のサイバー攻撃で奪い取られたと見られており、コインチェック事件もまた北朝鮮の関与が強く疑われています。

国際社会から厳しい経済制裁が課せられている北朝鮮は、高いサイバー攻撃能力を持つ専門部隊やハッカー集団を多数抱えており、ハッキングで強奪しやすい仮想通貨を重要な資金源にしている可能性が高いと囁かれています。

今回コインチェック社から盗まれたネム(XEM)の送金先は、世界中からマークされているため、犯人が最終的に換金に成功するかは今のところ微妙な情勢ですが、各国で仮想通貨規制が進んでいるのは、北朝鮮対策も含めた不正利用を防ぐことが主な理由であるため、北朝鮮犯行説の疑いが強くなればなるほど、コインチェック社および他の仮想通貨取引所の運営管理状況に対する金融庁のチェック体制は一段と厳しくなりそうです。

headlines.yahoo.co.jp

 

【2】決済もできずに拘束されたアルトコイン、コインチェック社が生んだ悲劇

コインチェック社が流出事故を起こした1月26日に、ビットコイン以外の取引と日本円を含む全ての出金を停止したことで、100万人規模とみられる投資家層は資産とポジションを拘束されたままとなっています。

特にビットコイン以外のアルトコイン保有者は、事件前の半値程度まで暴落する中、決済もできずに資産が目減りしていくのを呆然と見続ける他なく、特に昨年度に大幅な利益を計上した投資家にとってみれば、確定申告シーズンを前に納税資金の捻出すら危ぶまれる状況となっています。

コインチェック社が1月28日、奪われたネムの保有者に対して1XEM=88.549円で補償する方針を示したところ、流出時点や補償方針発表時点の時価が100円を上回っていたことからクレームが殺到していました。
ただ、その後の暴落により、ネム価格が本日現在で40円前後まで下落したことから、ネム保有者の損失額が最も少なく済むという、皮肉な事態となっています。

金融庁の立ち入り検査が継続中で、コインチェック社の取引停止と出金停止がいつ明けるのか見通しが立ちませんが、取引再開とともに安値でもすぐに決済して換金したい、コインチェック社から離れたいユーザーが相当数溜まっていることは間違いなく、その投げ売りへの恐れが暴落の加速要因ともなっていそうです。

 

本日、こちらからは以上です。

 

【中国】海外拠点サービスも規制へ【韓国】キムチプレミアムが遂に解消

本日2018年2月5日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、888,000円前後(時価総額:約14.96兆円)です。

先週金曜日の同時刻帯より5万円ほど安い水準です。
日本時間2月2日午後9時台に一時77万円台まで下落した後、一気に下げすぎた反動もあり、2月4日未明には102万円台まで反発しました。
その後は買い材料不足から再びズルズルと値を下げる展開となりました。

本日の記事では、中国が海外拠点サービスにまで規制を強化する方針を示したことや、国際価格より20%程度高く取引されていた韓国のキムチプレミアムが解消した事象、及びコインチェック事件の続報などを取り上げたいと思います。

 

【1】中国、更なる規制強化へ、海外拠点・仮想通貨建て取引もNGか

中国当局は、国民の仮想通貨取引について今後更に規制を強める方針であると現地メディアが報じています。

中国国内では法定通貨と仮想通貨を交換する取引所やICOは規制対象となり、取引できない状態となっていますが、海外に拠点を移した事業者が提供するサービスなどを利用して取引を継続する中国人投資家が多く、今回の動きはこういった抜け道を封じる狙いがあるとみられます。

一部取引所では当局の方針を受けて中国本土のユーザーにサービスを提供しないと発表するなど、既にその動きは始まっており、検索大手「百度」や中国版Twitter「微博」から仮想通貨、ICO関連の広告が一斉に消えたとも報じられています。

国家が管理できない仮想通貨を完全に追い出す姿勢を中国当局が改めて示したことは、ある程度織り込み済みだったとは言え、マイナス材料が続いて足腰が弱っているビットコイン相場にとってネガティブに働きそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【2】韓国、取引所閉鎖報道は下火も勢い戻らず、キムチプレミアムが解消

2018年1月の急落要因となった韓国の仮想通貨取引規制問題は、本人確認の強化や取引所への監視強化が落とし所となり、取引禁止といった最悪の結末を回避した感がありますが、1月30日から韓国の取引所で新規口座開設の受付が再開されたものの、コインチェック事件やテザー疑惑再燃で仮想通貨マーケットが総崩れとなったことで、ここまで相場を押し上げてきた韓国マネーにも勢いが感じられません。

韓国ではビットコインを始めとする仮想通貨が、日欧米より常に20%程度高い価格で長らく取引されてきており、この乖離幅は「キムチプレミアム」と呼ばれていましたが、ここ最近の急落でキムチプレミアムは完全に解消し、国際価格とほぼ同水準となりました。

外国との価格乖離グラフ

キムチプレミアムが噂通り、取引所の市場操作によるものだったのかは現状不明ですが、プレミアムが剥がれた分、韓国市場の下落幅はより大きくなったことで、投資家は相当痛手を被ったことになります。

今回の暴落で、ビットコインよりもアルトコインの下落幅が大きくなっているのは、アルトコイン人気と高騰を支えてきた韓国市場の失速と、国内最多のアルトコインを取り扱うコインチェック社の事件が大きく響いたと言えそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【3】日本、コインチェック社への立ち入り検査は継続中

2月2日、ネム流出事故を起こしたコインチェック社に金融庁が立ち入り検査に入りました。
補填可能な資産が実在しているか、顧客資産の分別管理体制に問題はないか等の確認が進んでいるものの、今のところ金融庁から結果についてのアナウンスはなく、検査は継続中とみられます。

コインチェック社は3日、現在の状況についての声明を出しましたが、取引・出金再開の時期についての新情報はなく、ネム以外の顧客資産は保全されていることを伝える内容のみとなっています。

金融庁が立ち入り検査に動いたことで、今後のアクションについては全て金融庁の許可が必要な状態となっているとみられることから、立ち入り検査の終了と結果報告が出るか、業務改善命令での書面提出期限(2/13)まで、当面大きな動きはなさそうです。

corporate.coincheck.com

 

本日、こちらからは以上です。

 

金融庁、コインチェックに立ち入り検査|G20まで各国発言に注意

本日2018年2月2日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、937,000円前後(時価総額:約15.78兆円)です。

昨日の同時刻帯より17万円ほど安い水準です。
10,000ドルを挟んだ攻防が続いていましたが、日本時間2月1日午後5時台に下方向にブレイクし、そのまま9,000ドル割れまで下落し続けました。
インド財務相の仮想通貨取引規制強化を示唆する発言が売り材料視されました。

その後一旦弱く反発したものの、2月2日午前8時前に金融庁がコインチェック社に立ち入り検査に入ったことが伝えられると、再び売り浴びせられました。

本日の記事では、金融庁のコインチェック社立ち入り検査報道と、インド財務相の発言内容と3月に開催されるG20について取り上げたいと思います。

 

【1】今朝、コインチェック社に金融庁が立ち入り検査、財務状況調査へ

本日2月2日午前8時前、金融庁がネム流出事故を起こしたコインチェック社の本社(渋谷区)に立ち入り検査に入りました。

金融庁は同社に対し、2月13日までの書面報告を求める業務改善命令を1月29日に出しているものの、提出期限を待たず立ち入り検査に踏み切ったのは、同社が自己資金で463億円を補填する方針を示したことで、原資の実在確認のほか、顧客資産の分別管理状況などを至急調査する必要があると判断したためと見られます。

立ち入り検査報道により、不安心理からビットコイン、アルトコインは更に投げ売られて下落幅を拡大しました。

www3.nhk.or.jp

 

取引も出金も停止したままのコインチェック社は、現在の状態についての情報開示責任を果たしているとは言い難く、投資家の不安と不満が日増しに高まっています。

金融庁の幹部は「いくら話を聞いても、どういう人間がどういうセキュリティーを動かしているのか全然わからない」と事情聴取だけでは全容把握は困難とみて、急きょ立ち入り検査に踏み切った背景の一端を述べるものの、他にも今後の様々な可能性を考慮して、立ち入り検査に踏み切ったものと推察されます。

検査の結果、少なくともコインチェック社の説明の通り、補填可能な自己資金の存在が確認できれば、ひとまず相場にも落ち着きが生まれそうではありますが、まずは金融庁からの発表が待たれます。


なお2日午後、日経QUICKが「再発防止策が確認できれば2月13日以前でも業務再開できる」という金融庁の考えを報じたことで、一時88万円前後まで下落した相場は多少反発しています。

 

【2】インドも規制強化か、3月開催のG20へ向けて各国発言に注意

2月1日、インドのジャイトリー財務相が仮想通貨を利用したICOや決済利用についてネガティブな見方を明らかにし、今後の規制強化が示唆されたことで、仮想通貨マーケットは更に下値を切り下げました。

今年2018年は、年初から韓国の取引所閉鎖報道に始まり、中国の規制強化、日本のコインチェック社のネム流出事故、香港のテザー社のUSDT疑惑再燃、今回のインドの規制強化見通しなど、アジア各国からマイナス材料が続出しています。

3月19日、20日にアルゼンチンで開催されるG20では、世界的な仮想通貨規制の枠組み、特にマネーロンダリングや犯罪利用などへの対応策などが話し合われると見られており、G20に向けて今後も各国から様々な発言が飛び出す可能性が高いことから注意が必要と言えそうです。

www.nikkei.com

 

本日、こちらからは以上です。

LINEが仮想通貨事業へ参入表明|リスク(LSK)が盛り上がらない理由

本日2018年2月1日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
15時頃のビットコイン価格は、1,107,000円前後(時価総額:約18.64兆円)です。

昨日の同時刻帯より3万円ほど高い水準です。
ビットコイン相場は10,000ドルを挟んだ攻防が続き、小動きとなっています。

本日の記事では、国内7,000万人以上が利用する対話アプリのLINEが金融子会社を設立し、仮想通貨取引事業に参入することを発表したニュースや、昨日bitFlyerで取扱が開始された仮想通貨リスク(LSK)の相場が期待に反して盛り上がりに欠ける理由、及びコインチェック事件後の業界団体の反応などを取り上げたいと思います。

 

【1】LINEが仮想通貨取引事業に参入を発表、新風を巻き起こすか?

コインチェック事件に揺れる最中、国内7,000万人以上が利用する対話アプリのLINEが、仮想通貨取引事業に参入することを1月31日の決算会見で明らかにしました。
既に、金融子会社「LINE Financial」を資本金50億円で設立済みで、金融庁へも仮想通貨交換業の登録申請を済ませていることからも本気度が伺えます。

LINEは「LINE PAY」と呼ばれるモバイル決済サービスを2014年12月から提供しており、登録ユーザーは4,000万人、年間取引高は4,500億円超に達しています。
金融子会社では「LINE PAY」に加えて、仮想通貨やローン、資産運用などに領域を広げ、金融事業全般で更なる成長を目指していく方針です。

IT事業のGMO、映像サービスのDMM、ECモール発の楽天なども、いまや証券・FXなどの金融事業がグループの主翼に成長していることから、国内7,000万人以上の利用者を抱えるLINEの金融事業本格化の動きは、自然な流れと言えそうです。

一方、LINEのユーザー層を考えると同社が提供する仮想通貨取引サービスは投機目的が主の既存取引所スタイルではなく、LINE経済圏を確立することを目的に、ショッピング決済、個人間送金など「LINE PAY」と補完し合うものや、今後の金融系新サービスとの連動を担うものになる可能性が考えられます。

www.nikkei.com

 

【2】国内最大手bitFlyer、リスク(LSK)取扱開始も盛り上がりに欠ける様相

国内最大手取引所bitFlyerの加納社長が1月5日夕方に自身のTwitterで、新規アルトコインの取扱を1月中に開始することを発表して以降、過去に同社がモナコインの取扱開始後に急騰したことから、どのコインが追加されるかについて数多くの憶測や期待が飛び交い、注目を集めてきました。

結果、1月31日午後2時30分頃、本命の一つと噂されていたリスク(LSK)の取扱開始が同社から発表され、直前の2,300円台から約30分後には3,600円台まで一気に吹き上がりました。
ただ勢いは継続せず、そこから下落の一途を辿り、本日現在では2,600円台まで値を戻しています。

昨年後半であれば、一気に1万円台の大台を伺っても不思議ではなかったbitFlyerの上場ネタでしたが、コインチェック事件の影響とbitFlyerの広すぎるスプレッドなどにより、事前に注目されていたほどには盛り上がらない結果となりました。

リスク(LSK)の上昇の勢いが継続しなかった背景
  • 国内で唯一先行上場していたコインチェック社が取引停止中で圧倒的な買い手不足
  • bitFlyerのリスク(LSK)売買スプレッドが20%前後もありコストが高すぎた
  • 取扱開始後すぐにbitFlyerがアクセス集中で取引不能となり気持ちが冷めた
  • 仮想通貨マーケットの変調と先行き不安ムードで新規マネーが続かなかった

 

なお同じく1月中の導入が予定されていた「現物とFX価格の乖離縮小制度」は本日、2月前半への延期が発表されました。
コインチェック事件後の急落でFX側に売りが集中した結果、現物とFXとの価格乖離はほぼ解消されていることと、アクセス集中時のシステムトラブルが相次いで発生していることから、先送りにするようです。

【重要】Lightning 現物(BTC/JPY)と Lightning FX の価格乖離の縮小を目的とした「SFD」導入予定時期の変更について

 

【3】コインチェック社に対し、2つの加盟団体から批判コメント

日本仮想通貨事業者協会(JCBA)の会長であるマネーパートナーズ奥山社長は、1月31日に行なわれた協会主催の定例勉強会の中で、流出事故を起こしたコインチェック社に対し、仮想通貨の保管体制が顧客に説明していた内容と異なっていたことを批判するコメントを発しました。

また、自身がFX、証券事業を行なう立場ということもあり、「FXや証券会社なら業務停止命令が出る」として、今のところコインチェック社に対する行政処分が業務改善命令(書面報告)に留まっていることについても甘い処分だという見方を示しました。

皮肉にも同日の勉強会では、今後ビットコインで導入が期待されている新技術「Lightning Network」についての講演を、同協会会員であるコインチェック社の社員が行なうはずでしたが、事件を受けて仮想通貨の保管体制や再発防止策を確認し合う内容に急きょ変更されました。

jp.reuters.com

 

また、もう一つの業界団体で、コインチェック社も加盟する日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事を務めるbitFlyer代表の加納氏も滞在中のニューヨークで30日、コインチェック社に対して「セキュリティやマネジメントへの意識が薄かったのではないか」と見解を述べています。

www.businessinsider.jp

 

金融庁の号令と各業界団体の要請を受けて、各仮想通貨取引所は自社の管理体制を再点検して問題がないことや更なる強化に取り組む方針を続々と発表しています。

業界としては、コインチェック事件は同社の管理体制の甘さが招いた独自の問題として切り捨てる方向で動いており、コインチェック社の和田社長はJCBAの非常勤理事、JBAの監事という要職を務めているものの、その立場も危うくなりそうです。

 

本日、こちらからは以上です。

 

本ブログはビットコインなどの情報提供を目的としますが、内容の正確性を保証するものではありません。仮想通貨の取引はご自身の判断で行なってください。