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国内大手の仮想通貨取引所Zaifにトラブル発生|今後のICO規制に波及する懸念も?

本日2017年10月2日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
16時頃のビットコイン価格は、497,000円前後(時価総額:約8.25兆円)です。

9月30日(土)に予定通り、中国大手取引所BTCCが全ての取引を停止し、世界最長となる2305日間の歴史に幕を閉じましたが、特に目立った混乱もなく、一つの節目を超えたことで、ビットコイン市場に一旦、買い安心感が広がっているように見えます。

中国発の次の材料は10月18日の共産党党大会、10月末のOKCoin・Houbiの取引停止に絡んだものになりそうです。

本日の記事では、先週9月29日(金)に国内ビットコイン取引所11社の金融庁登録が発表されたことをお伝えしましたが、登録企業の1社であるテックビューロ社に早速、システム障害やICO絡みのトラブルが起きており、その事実関係によっては、国内のICO規制に波及する可能性もあることから、その辺りを取り上げてみたいと思います。

 

【1】国内大手取引所Zaif運営のテックビューロ社、これまでの動き

国内大手取引所Zaif(ザイフ)は、ブロックチェーン技術に強みを持つとされるテックビューロ社が運営しており、株主にはインフォテリア、マネーパートナーズグループ、フィスコなどの上場企業や、ジャフコなど有名ベンチャーキャピタルが名を連ねています。

数多くのIT・システム会社が加盟するブロックチェーン推進協会(BCCC)の中核メンバーとして、「台風の目」的なポジションで加盟企業と連携しつつ、先鋭的なサービスを生み出そうと様々な実証実験を展開しています。

BCCC会員企業 | BCCC - ブロックチェーン推進協会

 

そして同社がこれまでの取り組みの総決算として、最も力を注いでいるのが、ICOによる資金調達から、発行する独自コインの管理、取引所(Zaif)での上場などをパッケージ化した「COMSA(コムサ)」というICOプラットフォームの提供です。

comsa.io

 

株券の発行、募集・売り出し、株式上場、株主管理を、全て仮想通貨で行なうシステム、といった感じでしょうか。

各国のICO規制が強まる中、証券関連法などとの関係が気になりますが、ICOについてここまで本格的に用意されたサービスは世界的にもほぼ例がなく、法律面をクリアして問題なく稼働すれば、企業の資金調達の流れが大きく変わるかもしれないと言われてきました。

テックビューロ社が8月3日に公開した情報では、既にICO3号案件まで決まっており、トークンセールに興味を示す事前登録者が本日現在で20万人近くに上るなど、高い注目を集めていました。

2017年8月3日時点におけるCOMSAのICO予定案件
  • 1号案件 … COMSA自体のICO(10月)
  • 2号案件 … 東証二部上場プレミアウォーターホールディングス(11月中旬)
  • 3号案件 … クラウドファンディングのCAMPFIRE(11月下旬)

 

また、同社が独自発行する仮想通貨のZAIFトークン(ZAIF/JPY)でICOに参加(購入)すればボーナスが付与されるとのことから、特に目立った使い道がなく低迷していたZAIF/JPYの価格が一時10倍以上に跳ね上がるなど、思惑買いが先行していました。

 

【2】テックビューロ社、悪夢の9月29日

金融庁から「仮想通貨交換業者」登録11社のうち1社として発表された9月29日、テックビューロ社の顧客はそれを祝うどころではなく、「ICO3号案件の突然の不参加表明」「システム障害で長時間の取引所停止」という2つの事件が重なり、大騒ぎとなっていました。

mag.camp-fire.jp

 

corp.zaif.jp

 

ICO注目案件のCAMPFIRE社が突如不参加を発表した上、第2号案件である東証二部上場プレミアウォーターホールディングスの表記も一旦消されてしまうなど不安が広がる中、取引所サービスが長時間停止し、ZAIF/JPYの売買もできなくなってしまったため、週末はチャット、Twitter、2chなどで大きな騒ぎとなっていました。

途中での状況説明が遅れていた上、問い合わせ先電話番号も公開されていないことから不安と不満が続出し、金融庁登録直後のトラブルだったこともあり、金融庁へ通報した人も散見されました。

今回の事態については、速やかに金融庁へ事故報告を行なう必要があるでしょうし、場合によっては何らかの指導が入る可能性も考えられ、初日からケチが付いた格好です。

 

【3】ICOの資金調達は効率的だが、投資家保護のための規制はやはり必要か?

そのような状況下において、COMSAのトークルセールは予定通り、本日10月2日(月)14時より開始されましたが、アクセスが殺到して販売サイトになかなか接続できない状況が続いています。
それでも開始早々、40〜50億円規模の仮想通貨を調達済みのようで、ICOでの資金調達が効率的であることが改めて示された格好です。

その一方、テックビューロ社とCAMPFIRE社双方から、今回のICO破談についての説明が、本日サイトにアップされたものの、その言い分が真っ向から異なり、取引参加者や関係者を困惑させています。

どうやら、CAMPFIRE社がライバル企業であるcoincheck社のビットコイン決済サービスを導入したことが、テックビューロ社から見れば裏切り行為に映り、スムーズに話が進んでいなかった中、決定的な亀裂を生んだとみて良さそうです。また、感情的な対立もありそうです。

今回の事態は、有価証券で言えば、正しくない情報が記載された目論見書で資金集めしたとも指摘されかねない状況だけに、仕組みや規制の未成熟さを露呈した格好です。
規模が大きいだけに、日本国内のICO規制に大きな影響を与える恐れもありますので、今後のためにも早期の真相解明、並びに自主規制によるルール化が待たれるところです。

COMSAにおけるCAMPFIRE社のICOの中止の経緯について(テックビューロ社)

COMSAに関する一連の経緯につきまして(CAMPFIRE社)

テックビューロ社の説明要旨(10月2日)
  • ICO実施の前提で、8月から制度設計について両社で協議を進めていた
  • 8月下旬にはCAMPFIRE社より他社に先駆けて実施したいと連絡あり
  • 希望通りの実施は困難と判断し、ICOの引き受けをお断りした
  • 他社(coincheck)のビットコイン決済導入で、信頼関係は崩壊して提携も解消
  • 取引所システムの提供も中止
CAMPFIRE社の説明要旨(10月2日)
  • 協議は行なっていたが、具体的な条件交渉はなく最終合意もしていない
  • 取引所システムの提供を突然打ち切られ、業務提携も解消された
  • 理由は他社(coincheck)のビットコイン決済導入で信頼関係が崩壊したとの主張
  • 仮想通貨領域の全てを一社と独占契約することは現実的ではない
  • 不参加表明はテックビューロ社から発表がないため投資家保護目的で行なった

 

 

本日、こちらからは以上です。

 

本ブログはビットコインなどの情報提供を目的としますが、内容の正確性を保証するものではありません。仮想通貨の取引はご自身の判断で行なってください。