本日2018年9月20日(木)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は、716,000円前後(時価総額:約12.37兆円)です。
昨日の同時刻帯とほぼ変わらない水準です。
サーバー障害を理由に17日からビットコイン等の入出金を停止していた大手取引所Zaifが、日本時間20日午前2時台に67億円相当のハッキング被害を受けていたと発表したことで6,100ドル前後まで急落したものの、すぐに反発しました。
本日の記事では、テックビューロ社が被った67億円相当のハッキング被害と同社の問題点、および金融庁や日本仮想通貨交換業協会の反応などを取り上げたいと思います。
【1】大手取引所Zaifが67億円相当のハッキング被害、フィスコが支援と買収へ
国内大手取引所Zaifを運営するテックビューロ社は、先週14日17時から19時頃までの間に外部から不正アクセスを受け、ビットコイン5,966BTCなど推定67億円相当のハッキング被害を被ったことを、20日午前2時15分にプレスリリースで公表しました。
被害額67億円相当のうち同社資産は22億円しかなく、今年1月に起きたコインチェック事件の時のように自社資産で補填できず、残り45億円は顧客資産が毀損した格好です。
そのため同社は、直前まで取引システムをOEM提供するなど関係の深いジャスダック上場フィスコ社との間で、過半数の株式を差し出し、過半数以上の取締役・監査役の派遣を受け入れる代わりに、50億円の金融支援を受けることを検討する基本契約を20日に締結したと併せて発表しています。
金融支援は9月下旬の実行を目指して準備・交渉中とされていますが、実質上の買収資金である50億円の拠出は、2017年12月末時点の貸借対照表で現金及び預金が36億円のフィスコにとっても簡単に実行できる額ではない上、流出額がまた確定されておらず今後増加する可能性もあるため、当面進捗を見守る必要がありそうです。
一方、14日夕方に起きた不正アクセスに対して異常を検知したのが17日で、ハッキング被害と判断したのが18日と事実確認が遅かったことに加え、金融支援を取り付けるため水面下で各社と交渉を進めることを優先し、20日まで事実の公表を遅らせた同社の姿勢に不信を募らせる声が挙がっています。
また18日午前に、顧客資産の安全を確認したという虚偽と指摘されかねないツイートを発していることも批判の対象となっています。
【仮想通貨入出金障害の続報】
— Zaif - 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) September 18, 2018
現在BTC,MONA,BCHの入出金を一時停止しております。引き続き障害対応中ですが、お客様の資産の安全を確認いたしましたことをご報告いたします。復旧については1~2営業日中に完了する予定です。ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
【2】金融庁は本日にも立入検査、協会は全社に緊急点検を要請
金融庁は今回の事件を受け、本日20日にも職員を派遣してテックビューロ社に立入検査を行なう方針と報じられています。
同様の流出事故を起こしたコインチェック社と異なる点として、テックビューロ社は金融庁の正式な登録業者であることや、3月・6月に経営管理態勢の問題などを指摘しつつも業務改善命令にとどめた金融庁の判断が改めて批判される可能性があり、かなり厳しい姿勢で臨むことが想定されます。
テックビューロ社の現経営陣はフィスコ社への引き継ぎが完了次第、退任する意向を示しているものの、金融庁が業務停止命令などの重い行政処分を示唆するような場合、金融支援を含めたフィスコ社との話が流れる可能性も否定できず、情勢は緊迫しそうです。
また、金融庁登録業者16社で構成される日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は、テックビューロ社の発表を受けて、全会員に対して緊急点検の実施を要請したことを明らかにしました。
テックビューロ社は協会に対しても事前に何も報告していなかったようで、金融庁認定の自主規制団体を目指す同協会の存在価値が問われる事態になりかねず、協会関係者からは深いため息が聞こえてきそうです。
当協会会員における仮想通貨の不正流出について | 一般社団法人 仮想通貨交換業協会(JVCEA)
金融庁は秋頃〜年末までにJVCEAを自主規制団体を認定すると共に、160社以上順番待ちとされる交換業者の登録審査を再開するとみられていましたが、今回のテックビューロ事件により先行きが不透明になってきた感があります。
マネックス傘下となって金融庁登録とサービス全面再開を願うコインチェックにとっても、同様の流出事故が起きたことがマイナスに働く可能性が高く、痛手となりそうです。
本日、こちらからは以上です。