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テザー(USDT)の信用不安が相場材料に|自己資本が必要な取引所ビジネス

本日2018年10月19日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は719,000円前後(時価総額:約12.46兆円)です。

昨日の同時刻帯より1万円ほど安い水準です。
15日に香港Tether社が発行するテザー(USDT)が急落し、ビットコインに資金退避する動きが加速したことで、Tether社と関係が深い取引所BitFinexでは一時7,700ドル台を付けるなど暴騰、他の取引所でも大幅に連れ高となりました。
今週の相場はその上昇分を削る形で右肩下がりの値動きとなっています。

本日の記事では、今週の主な相場要因となったテザー(USDT)の現況と、テックビューロの顧客資産毀損事故により、協会が各取引所に安全資産の保有義務付けを検討する動きなどについて取り上げたいと思います。

 

【1】テザー(USDT)の信用不安と、代替ステーブルコインの存在

香港Tether社が発行するステーブルコイン、テザー(USDT)は発行額と同額の米ドルを同社が保管・管理することで、1USDT≒1米ドルで取引されるよう設計されていますが、15日にテザーに対する信用不安が連鎖的に広がり、一時0.92ドル台まで急落しました。

Tether社が価値の裏付けとなる資産を保管しているかの監査に応じないことから、以前より架空発行や関連会社である香港大手取引所Bitfinexと結託した相場操縦を疑う声が根強くある一方、銀行(法定通貨)を経由せずに資金移動できるステーブルコインは便利なため、USDTは取引量ではビットコインに次ぐ第2位、時価総額でも第8位(20億ドル)と、海外取引所では基軸通貨としての地位を築いています。

疑惑は根強くとも元祖ステーブルコインとも言えるテザーは認知度が高く利用者が多いため、ここまで相場は大きく崩れることなく取引されてきましたが、今回の急落の背景には従来からの信用不安に加え、テザー以外のステーブルコインが続々と開発・提供され始めた影響も大きいと考えられます。

実際、ウィンクルボス兄弟が運営する米仮想通貨取引所ジェミニがNY州規制当局より発行承認を得たステーブルコイン、ジェミニ・ドル(GUSD)の取引高は、今回のテザーの信用不安拡大を受けて急増している模様です。

まだまだテザーを利用する投資家や取引所が圧倒的に多く、シェアがすぐに逆転するような雰囲気ではないものの、より信頼度が高い代替品の登場によりテザーのシェアがじわじわと削られていく可能性は高く、また何かのきっかけで再びテザーの信用不安が高まり、相場が大きく変動する場面もありそうです。

jp.cointelegraph.com

 

【2】国内取引所、盗難リスクに備えて安全資産の保有を義務付けか

金融庁から登録を受けた仮想通貨交換業者が加盟する日本仮想通貨交換業協会が、盗難リスクに晒される仮想通貨の額に応じて、預金や国債などの安全資産の保有を会員に義務付ける自主規制案を検討しているとロイターが報じました。

1月にコインチェックが起こした580億円流出事故は自社資産で補填できたものの、9月にテックビューロが起こした70億円流出事故は顧客資産45億円が毀損する事態となり、フィスコに身売りすることで対応することになりましたが、これらの経緯や綱渡り的な対応を金融庁が問題視しているようです。

大手取引所の仮想通貨預かり資産は数百億、数千億レベルとなりますが、安全資産の保有が義務付けられるのは、盗難リスクが高いインターネットに接続したホットウォレット内の残高を基準に算出した額となりそうで、その仕組みによっては減額も可能とみられます。

顧客保護の面では前進する一方、仮想通貨交換業ビジネスは自己資本をこれまで以上に手厚くする必要性が生じることから、ますます大企業グループに集約されていく可能性が高く、160社以上とされる金融庁登録待ち企業も相次ぐ規制強化で申請の撤回が増えていきそうです。

jp.reuters.com

 

本日、こちらからは以上です。

 

本ブログはビットコインなどの情報提供を目的としますが、内容の正確性を保証するものではありません。仮想通貨の取引はご自身の判断で行なってください。