本日2018年7月20日(金)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は、833,000円前後(時価総額:約14.29兆円)です。
昨日の同時刻帯より1万円ほど高い水準です。
方向感がはっきりしない横ばいの展開となっています。
本日の記事では、ビットコイン投資信託などに機関投資家の資金が流入していることを明らかにしたグレースケール社の投資レポートと、中央銀行が究極のステーブルコインとも言えるデジタル法定通貨を発行する可能性について取り上げたいと思います。
【1】ビットコイン投資信託に機関投資家マネーが流入
ビットコイン投資信託など7種類の仮想通貨投資信託と、主要仮想通貨にバスケット投資するパッシブ運用ファンドを運営する、ニューヨーク拠点の仮想通貨投資会社グレースケールは、今年上半期の投資状況レポートを業界で初めて公開しました。
同社のビットコイン投資信託とイーサリアムクラシック投資信託は、米国新興市場OTCQBで取り扱われています。
レポートによると、2018年1月〜6月の半年で約2億5,000万ドルもの資金が同社商品に流入しており、その投資先はビットコイン投資信託が63%、その他が37%とされています。
更に資金の出し手は、機関投資家が56%と過半数を占めている状況で、仮想通貨投資に対して機関投資家は様子見であるという見方が一般的である中、機関投資家からの資金流入を直接体験している同社幹部は、彼らは価格下落をチャンスと捉えていると発言しています。
世界最大規模の資産運用会社である米ブラックロックが仮想通貨市場に参入するという噂は同社CEOが今週否定したばかりですが、グレースケール社のレポートは機関投資家マネーが今後も継続的に流入する可能性を具体的に示すものとして注目されそうです。
【2】中央銀行がステーブルコイン(デジタル法定通貨)を発行する未来は?
IBMが開発に着手した米ドル連動の「Stronghold USD」や、三菱UFJフィナンシャル・グループが実証実験を進める日本円連動の「MUFGコイン」など、投機目的ではなく決済利用を目的としたステーブルコイン(安定通貨)が注目を集めていますが、民間企業ではなく中央銀行自体が法定通貨をデジタル化しようとする動きも各国でみられます。
現金流通量が対GDP比で1.4%(2016年)と、日本の19.9%、ユーロ圏の10.7%、米国の7.8%と比較にならないほどキャッシュレス化が進んでいる北欧スウェーデンでは、中央銀行によるデジタル通貨「eクローナ」の検討が進んでいるほか、ロシアや中国などでも政府が管理するデジタル通貨の研究が進んでいるとされています。
民間企業が取り組むステーブルコインは、どうしても発行企業を中心としたグループ内での使用に留まる恐れがありますが、中央銀行が発行するデジタル通貨は法定通貨と同義であり、企業グループとは無関係となることから、様々な決済・送金の場で使用される可能性を秘めています。
ただその分、既存の金融システムに与えるインパクトは絶大で、検討すべき課題も多く、18日に開かれた米議会の公聴会で、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)の導入について意見交換が行なわれたところ、参加者から「最悪な金融アイディアの一つ」など様々な意見が出されたようです。
中央銀行が発行するデジタル通貨は、スウェーデンのようにキャッシュレス化が既に進んでいる国や、経済規模が小さな国、また原油を裏付け資産とする「ペトロ」を発行したベネズエラのように特殊事情を抱える国が先行して実施していき、先進諸国はその影響を見極めながら、自国での発行を検討するという流れが最も有り得そうです。
各国政府や中央銀行の支配を受けない非中央集権の通貨を目指したビットコインが、結果として、中央銀行が管理するデジタル法定通貨の実現に多大な影響を与えたとするなら、皮肉な展開であると同時に、歴史に残る偉業として評価されるべきことかもしれません。
本日、こちらからは以上です。