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スウェーデン中銀、「eクローナ」の発行テストを実施へ|リブラのホワイトペーパーが修正、配当に関する文言削除

本日2019年12月16日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は774,000円前後(時価総額:約14.01兆円)です。

昨日の同時刻帯と比べてほぼ横ばいの水準です。
買い材料に乏しいビットコインは、引き続き上値の重さが目立つものの、クリスマス休暇シーズンが近づく中で様子見ムードも強く、7,100ドル前後の限定的な値幅での動きに終始しています。

本日の記事では、スウェーデン中銀によるeクローナのテスト計画や、密かに修正が行われていたリブラのホワイトペーパーについて取り上げたいと思います。

 

【1】スウェーデン中銀、「eクローナ」の発行テストを実施へ

スウェーデンの中央銀行に当たる「Riksbank(リクスバンク)」はこのほど、ITコンサルティング大手アクセンチュアと提携し、独自デジタル通貨「eクローナ」の発行に向けてテストを行っていくことを発表しました。

アクセンチュアは提携を通じてeクローナの発行における技術的なソリューションの提供を行う予定で、契約期間は最長で7年間となるようです。

スウェーデン中銀は今回のテストについて、「eクローナの技術的な実現可能性について理解を高めることが目的」としており、ただちにeクローナを発行するわけではないと述べています。

なお、スウェーデンは名目GDPに対する現金の市中流通残高が1%程度(日本は約20%)とされるなど、世界屈指のキャッシュレス先進国として知られています。2018年にスウェーデン国民が買い物等で現金を利用した割合は13%(2010年は39%)とのデータもあり、街中では現金支払いが拒否されるケースも多いといいます。

また、18歳~24歳の若者に限れば、デビットカードやスウェーデンの大手銀行が提供するスマホ決済アプリ「Swish(スウィッシュ)」での決済が95%に達しているとの話もあります。

こうした背景から、スウェーデンではキャッシュレス化によって金融政策の影響力が低下するリスク等に対応するため、2017年頃と比較的早い段階から中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)に関する研究が進められてきました。

先立ってスウェーデン中銀は、2019年にeクローナのテスト運用を開始し、2021年に流通を開始することを目指す方針を明らかにしており、今回のテスト計画の発表は概ね予定通りの動きと言えそうです。

coinpost.jp

なお、中央銀行のデジタル通貨発行を巡っては、スイス政府も今月13日に「eフラン」に関するレポートを公表しています。

同レポートでは、「誰でもアクセス可能な中央銀行のデジタル通貨は、現時点ではスイスに追加的なメリットがない」とされた一方で、金融市場関係者に限定した形であれば、「トレードや決済、証券管理の効率を高める可能性がある」との見解が述べられています。

jp.cointelegraph.com

【2】リブラのホワイトペーパーが修正、配当に関する文言削除

ジョージタウン大学法律センターのクリス・ブルーマー教授はこのほど、Facebookが発行を計画している仮想通貨「リブラ」のホワイトペーパー(事業計画書)について、重大な修正が密かに行われていたことを明らかにしました。

2019年6月に公開されたホワイトペーパー(LibraWhitePaper_ja_JP-1.pdf)では、リブラの裏付けとなるリザーブ資産に付与される利子の使用用途について、以下のように記載されていました。

「リザーブ資産に付与される利子はシステムの経費をまかなうために使用します。これにより低額の取引手数料を保証し、エコシステム立ち上げのために資金を提供してくれた投資家(Libra協会会員)に配当を支払い、さらなる普及と成長を後押しします。リザーブに対する利子の分配ルールは事前に設定し、Libra協会が運用を監督します。Libraのユーザーはリザーブからの利益を受け取りません」

しかし、同10月に密かに改定が行われたホワイトペーパー(LibraWhitePaper_ja_JP_Revised101319.pdf)では、以下のようにリブラ協会会員への配当の支払いに関する文言がばっさりと削除されています。

「リザーブ資産に付与される利子はシステムの経費をまかなうために使用します。これにより低額の取引手数料を保証し、さらなる普及と成長を後押しします。リザーブに対する利子の分配ルールは事前に設定し、Libra協会が運用を監督します。Libraのユーザーはリザーブからの利益を受け取りません」

改定前の設計では、会員企業に対してのみ「インベストメント・トークン」が付与され、そこから今後数年間で年間数十億規模の収益が得られるとの試算がなされていましたが、今回の修正によって会員企業がこうした利益を得ることはできなくなりそうです。

ブルーマー教授は今回の修正について、Facebook側には2つの目的があるとの見方を示しています。

まず1つ目は、リブラの収益性をなくすことで、有価証券に分類されるリスクを少しでも抑えることです。現在、一部の米議員からは、リブラを有価証券に分類し、米証券取引委員会(SEC)による厳しい監督を行うべきとの主張もなされており、そうした事態を避けたい思惑があると考えられます。

もう1つの目的としては、リブラ協会会員と消費者の間の利益相反の問題を解決することを挙げています。当初予定していたように、リザーブ資産による収益をリブラ協会会員が得られる構造の場合、会員の利益最大化に繋がるハイリスク・ハイリターンな投資が組み込まれやすくなり、リブラの安定性・信頼性が低下するとの指摘がありましたが、収益性をなくすことでそうした懸念を排除したと見られます。

今回のホワイトペーパーの修正は、リブラが発行に向けて当局の信頼を得るには必要な対応だったと考えられる一方、今後協会への加盟を検討している企業からすると、収益面での魅力が低下したことで、最低1,000万ドルの出資金を拠出してまでメンバーとなることに抵抗を感じる可能性もあります。

いずれにせよ、リブラは発行に向けてまだまだ前途多難な道を歩むことになりそうです。

jp.cointelegraph.com

本日、こちらからは以上です。

 

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