本日2021年5月17日(月)時点のビットコイン情報をお届けします。
13時頃のビットコイン価格は4,700,000円前後(時価総額:約88.83兆円)です。
昨日の同時刻帯と比べて600,000円安い水準です。
週末から本日にかけてのビットコインは、イーロン・マスク氏による度重なるネガティブなツイートを嫌気し、日本時間16日13時頃に一時42,185ドルまで下落しています。
本日の記事では、ビットコイン価格急落の要因となったイーロン・マスク氏のツイートや、初めて内訳が公開されたステーブルコイン「USDT」の準備資産に関する話題を取り上げたいと思います。
【1】マスク氏に翻弄される仮想通貨市場、テスラはBTCを売却済み?
本日早朝、約3ヵ月ぶりに45,000ドルを割り込むなど、足元で下落基調を強めているビットコイン相場。その背景には、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOが、ネガティブなツイートを相次いで発信していることにあります。
再び60,000ドルの大台回復をうかがう展開にあったビットコインでしたが、今月13日にマスク氏がテスラ車購入時のビットコイン決済の受け入れ一時停止を発表すると価格が急落。同サービスは今年3月24日に発表されたばかリであり、市場も仮想通貨決済の普及に繋がると期待していましたが、2ヵ月も立たないうちの方針転換に失望感が広がる形となっています。
マスク氏はビットコイン決済停止の理由について、「ビットコインの採掘と取引のために化石燃料、特に石炭の使用が急速に増加していることを懸念している。我々はその将来性を信じているが、環境に大きな負荷をかけてまで実現すべきではない」と説明しています。
一方で、仮想通貨の保有や関連事業から撤退することは否定。ビットコインのマイニングが持続可能エネルギーへと移行した場合、ビットコイン決済を再開する可能性があるとしているほか、「取引当たりのエネルギー消費量がビットコインの1%未満で済む他の仮想通貨による決済手段も検討している」ともコメントしています。
なお、ビットコインが環境面で問題を抱えていることは、マスク氏も当然理解していたはずであることから、今さらこれを理由に持ち出してきたことには疑問の声も挙がっており、その真意については様々な憶測を呼んでいます。
Tesla & Bitcoin pic.twitter.com/YSswJmVZhP
— Elon Musk (@elonmusk) 2021年5月12日
また、本日の日本時間早朝には仮想通貨アナリストのMr. Whale氏が、「ビットコイン支持者は、次の四半期決算で仮にテスラが全てのビットコインを売却したことを知らされたら腹を立てるに違いないだろう」とツイートに対し、マスク氏が反応。
「Indeed(そうだろうね)」と返答したことが、テスラが保有するビットコインをすでに売却した、あるいはこれからするとの思惑を誘い、週末の安値をさらに割り込む動きに繋がっています。
この発言自体はどうとでも受け取れるものに過ぎませんが、先述したビットコイン決済を巡る方針転換などで、多くの人がマスク氏の言動に疑心暗鬼になっている中では、よりネガティブな解釈が行われやすくなっているものと考えられます。
いずれにせよ、これまでビットコイン市場にとって大きな心の支えとなっていたマスク氏のポジティブな影響が剥落していることから、テスラがビットコインの購入を発表した2月8日の1BTC=約38,000ドルという水準は、ちょうど200日移動平均線が通る辺りであることからも、意識しておいた方がいいのかもしれません。
Bitcoiners are going to slap themselves next quarter when they find out Tesla dumped the rest of their #Bitcoin holdings.
— Mr. Whale (@CryptoWhale) 2021年5月16日
With the amount of hate @elonmusk is getting, I wouldn’t blame him…
【2】テザーの準備資産の内訳が初公開されるも、信用リスクに懸念の声
Tether(テザー)はこのほど、ステーブルコイン「USDT(テザー)」の裏付けとなる準備資産の内訳を初めて公開しました。
Tether社とその関連会社である仮想通貨取引所Bitfinex(ビットフィネックス)は今年2月、不正融資を巡る問題で米司法当局と和解。その際の和解条件として、今後2年間に渡ってUSDTの準備金の裏付けに関する情報を、四半期ごとに開示することとなっていました。
USDTは元々、米ドルと1対1のペッグを謳って発行されたものの、その発行ペースの異常さから、かねてより実際には米ドルによる100%の裏付けはないのではないかとの指摘を受けており、後に実際には7割程度しか裏付けがないことが明らかとなっていました。
今回公表された準備資産の内訳は以下の通りです。
- 75.85%=現金及び現金同等物、その他の短期預金、コマーシャルペーパー(CP)
- 12.55%=担保貸付金
- 9.96%=社債、ファンド、貴金属
- 1.64%=その他
また、75.85%を占めている「現金及び現金同等物」の内訳は以下の通りです。
- 65.39%=コマーシャルペーパー
- 24.12%=信託預金
- 3.87%=現金
- 3.60%=リバースレポ・ノート
- 2.94%=短期国債
今回の公表内容を巡っては、市場からは懸念の声が多く聞かれており、仮想通貨銀行Avanti(アヴァンティ)の創業者兼CEOを務めるケイトリン・ロング氏は、USDTの準備資産の大部分が、短期国債などの低リスクで流動性の高い証券ではなく、「品質のよくわからない信用資産」に投資されていることを問題視したうえで、同社のポートフォリオを「クレジットのヘッジファンドのようだ」と批判しています。
また、ロング氏は仮想通貨市場にとって、イーロン・マスク氏などのニュースよりもUSDTの準備資産の情報公開の方がはるかに重要だとの見解を示しており、Tether社による準備資産の公開が、ヘッジファンドが仮想通貨へのエクスポージャーを減らす行動に繋がっていると見ています。
仮に準備資産全体の約半分を占めるCPの発行体の信用力が低く、倒産などが発生した場合、USDTの価格は暴落する可能性がありますが、Tether社はCPの契約相手については公表を避けています。
USDTは仮想通貨市場における基軸通貨的な立ち位置にあることから、その影響は甚大なものとなる可能性があるだけに、引き続き動向を注視していきたいところです。
本日、こちらからは以上です。